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「ん?なんだ相棒」
呼ぶから何か用事があるのかと思ったのに、悠はオレの次の言葉を待っている。
オレは自分でいうのも何だが、こういう人の心の動きには結構聡い方だとは思う。
けど今の悠を見たらよほど鈍感な人間じゃない限り何を待っているかなんてわかるだろう。
まるで子犬みたいに目をキラキラさせてオレの言葉を待っている。
いつも冷静でカッコよいくせに、普段はむしろオレの方が犬系じゃね?ってカンジなのに、そんな顔されたらもうお前の望み通りにするしかオレに手は残されてないだろうよ。
「なんだ?悠」
望む言葉を手に入れた悠のヤツはとても綺麗な顔でにこりと笑って言った。
「呼んだだけ」
ああもうオマエは!
そんな風に笑われたらオレはもう未来永劫その笑顔の為に名を呼んでやるしかないだろが!
***
鳴花
陽介と悠は!名前で!!呼び合う仲になった!!!!
ってことで
滾りました…!
扉を叩く音にクロウは鍋を覗き込んでいた顔を上げる。
おそらく隣の小さな姉弟だ。
クロウは一人分には多すぎるシチューの鍋の火を止めた。
扉を開けると思った通りニコとウエストだった。
「勇者さまお助け下さい!」
「おたすけください!」
姉の台詞を弟が繰り返す。
「どうした、娘さん」
今日のクロウの設定は勇者様らしい。
幼い姉と弟は茶目っ気と芝居っ気を兼ね揃えて大袈裟に演技する。
クロウもそれに乗っかる。
子供の遊びには付き合ってやる主義だ。
「もうすぐ魔王がお腹を空かせて帰ってくるのです」
「かえってくるのです!」
姉は目元を手で覆って泣き真似をして見せる。
「なのにお金を下ろしてくるのを忘れてしまいました」
「わすれてしまいました~!」
忘れてるのは魔王…じゃなく鬼柳だ。
この幼い姉弟は奴の遠い親戚らしい。
親を亡くした子供の面倒を見ているのはいいが、アイツはちょっと子育てには向いてない。
家事がとにかくアレなのだ。
その上よく銀行から金を下ろしてくるのを忘れて家に食料が何もない、という状況を作る。
コンビニのATMだって駅前まで行かなきゃ無い田舎だと言うのに。
「このままでは魔王がまた鬱ってしまいます」
冷蔵庫の前でorz←こんな風に項垂れる鬼柳を容易に想像できる。
「それは大変!」
クロウも大袈裟に言った。
「では魔王を迎撃する準備をしよう…ニコは皿を並べてくれ。ウエストは戸棚にパンがあるから出してくれ」
「ありがとうございます!勇者さま!」
「ゆうしゃさま!」
「今日はシチューだぜ」
もういっそ一緒に暮らした方が色々便利なんじゃないかなんて考える日々だ。
***京クロ…?
子供の面倒をみるついでに
大きい子供の面倒も見る羽目になるクロたん
「あたっ」
人の手をじっと見ていたクロウがいきなりあむっと噛みついてきた。
なんだなんだ。
甘噛みだからまあそんな痛くはないが何事か。
その状態のままクロウは此方を見上げてくる。
「何なんだクロウ」
聞くとやっと口を離した。
「昨日見たテレビで手が綺麗だけどヤなヤツのこと主人公が噛んでた」
ああそう言えばヒロインが噛みついて逃げていたような。
「…で、噛んだの?」
こくりと頷く。
「オレやなヤツ?」
ううん、と首を振る。
「でも手が綺麗だから」
いや其れは理由になっていないと思うんだけど…。
歯型ついてるぞ。
もっと色っぱい理由で噛まれたかった。
なんだかなあと思っているとクロウは小首を傾げて言った。
「じゃあオレも噛んでいいぞ」
噛まれたのが不満だと思ったらしい。
やり返していい、ってことらしいけど背後で仁王立ちの保護者が怖いのでまだ辞めときます。
***
満足組初期京クロ
…というか14歳に夢見過ぎてクロたん阿呆の子みたいになってしまった…;;
