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夢の中で、誰かの優しい声が聞いた気がした。
身体を起こすと頭が酷く痛んだ。
思わず眉を寄せると目敏く気が付いた弟が心配そうに「兄サマ」と呼ぶ。
お前、目が覚めたのか。よかった。
3つ並んだベッド。
兄貴も居る。
そうだ、オレは凌牙に負けて…それから。
それから。
「おい、大会どうなったんだ」
ベッドから出ようとして思わず舌打ちする。
何でなんも着てねえんだ。
わざわざ脱がせて寝かせるとか、何考えてんだ。
こんな面倒な、手のかかること。
男だけだし別に部屋の中ならマッパでも構わないけど。
さっさと着替えたアニキがテレビを付けた。
映し出されるのは大会の決勝、スフィアフィールドが崩壊する映像。
「おい!」
「早く着替えろ。行くぞ」
「はい!」
慌てて弟と服を取りに走る。
会場までは遠いし、オレ達はもう紋章の力を使えない。
わざわざ脱がせて寝かせるなんて。
――――まるで時間稼ぎでも狙ってたみたいだ。
『今度は忘れない』
何時か聞いたあの声が確かに聞こえた気がした。
***
わざわざまっぱにしといたのって
最終的にフェイカーとは自分だけで決着付けるつもりで
子供たちは巻き込まないように
気がついてもすぐには来れないように
時間を稼ぐためだったのでは
本当はトロン様の底にはお父さんとしての部分も残っていたのでは
という妄想をしてみた。
息子たちの魂だけ大事に別に持っていて
その魂を見送るトロン様がすげえ優しい目をしていて
正直泣いた