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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「好きです、付き合って下さい」
「そうやね…どないしようかな」
今吉は髪を耳にかけて首を傾げ、逡巡する素振りをする。無駄に色っぽい。
何だ此れ。
着替えて帰ろうと部室へ戻ってきたら先に来ていた今吉に若松が告っていた。
何だ此れ。
今吉が此方に気がついて能天気に手を振る。
「諏佐あー遅かったやん」
一応聞いてみる。
「何やってるんだ」
「練習や」
「何でお前相手に告白の練習させてるんだ」
「えーやって本番に近い適度な緊張感を出せる相手として、ワシ、適任やない?」
先輩で主将やし。
まあ確かに今吉相手に告白の練習なんて緊張するだろう。
今吉の言っていることも一理ある気もするが、全力で面白がっているようにしか見えない。
というか洒落にならない。
人の心の読める妖怪であると名高い癖に、こういう所が意外と鈍い奴だ。
同じ穴の狢とでも言えばいいのか、諏佐は若松の想い人が誰なのかおおよそ見当がついていた。
多分若松の方も諏佐が気が付いていると解っている。
「オレ、お先に失礼します!」
…逃げた。
「おー頑張りや若松―」
今吉は再び能天気にひらひら手を振る。


「若松はちょっとお馬鹿やけどええ子やし、上手くいくとええなあ」

本人が居る時にそう言ってやればいいのに。
其れをしないのが今吉だ。
全力で面白がって、からかうつもりにしか見えないように振舞うくせに、その実、心配したり世話を焼いたり忙しい。
此れで結構面倒見はいい方なのだ。
もっと素直になればいいのに。
尤も他の連中もそう言う所には気が付いているから、何だかんだ言っても慕われるのだろう。


「おかんか」
「誰がおかんや」
突っ込んだらワシがおかんなら諏佐はおとんやで、と言われた。
まあ其れでもいいけど、とは言わないでおいた。
 


***
諏佐今。
夫婦。おかんは長男の恋をからかってるように見えて結構真面目に応援してるんだけど
長男の好きな人はおかんだという。
おかんサトリのくせに鈍い。

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