ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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夜中に呼び出さされた花村は少しばかり不機嫌なように見えた。
いや実際不機嫌なのだろう。
「オレ何で呼び出された訳?」
さっきからぶうぶうと文句ばかり垂れている。
魚が逃げるから少し黙っていて欲しいものだ。
「五月蠅い。魚が逃げる」
「じゃあ呼びだすな!」
花村はキイと怒鳴った。
余程寒いらしい、まだブツブツ言う。
「大体釣りするのにオレ要らなくね?」
…お前が要らないなんてことは何時だって無いんだよ。
「今日はヌシ様が釣れそうな気がするから」
「それだけ?!」
「決定的瞬間を見せてあげようというオレの優しさだよ」
「そんな優しさ要らねえ!」
寒い!と更に花村は文句を言った。
「もっと暖かい時期に呼んでくれてもよかったんじゃねえの」
夏の間とか!せめて秋とか!
「その時は釣れる気がしなかった」
「釣ってよ!」
お前は不可能を可能にする男だろ、などと花村は無茶を言う。
正確には好きな子の前で不可能を可能に近づける努力を惜しまない男です。
ただの恰好つけだ。
文句を言いながらも帰らない花村に少し気を良くして釣り糸を垂れる。
「冬は冬でいいことがあるよ」
「ナニ?」
隣に座り込んで釣り糸を眺めながら花村が聞く。
「冬の方が星が綺麗に見える」
「そーなん?」
冬の方が空気が澄んでいるのだとか、聞いたことがある。
此方を見た花村はそのまま顔を夜空へと向けた。
釣られるように此方も空を見上げる。
大きな月が出ていた。
「あーホントだ」
「すげえ綺麗な月」
思わず花村を見た。
「…ナニ?!オレへんなこと言った?」
凝視していたら気がついた花村が吃驚したように言った。
「夏目漱石って知ってる?」
「んん?」
唐突な此方の問いに花村は首を傾げる。
そんな仕草も可愛い。
「知ってるぞ勿論、お札にもなったしな!まあ書いた話を読んだことがあるか、っつーとあんまないけど」
「だろうね」
お勉強の苦手な花村くんの事だからそんなことだと思ったよ。
馬鹿にしたニュアンスを感じたのだろう、花村は不機嫌に言った。
「なんなんだよ、それ」
種明かしは必要かな。
「夏目漱石が『I love you』を『月が綺麗ですね』って訳したって話」
「…………はあ!?」
たっぷり十秒は黙ってから花村は素っ頓狂な声を上げた。
自分が何を言ったか理解するのに時間がかかったらしい。
鈍い。
「いや違うからな!そういう意味で言ったんじゃないから!!単にホント綺麗だなって思っただけで!!」
「コクられたと思ってときめいたのに」
「傷ついた、みたいな顔を作るな演劇部!」
ちょっとどきっとしたのは本当だよ。
なんて言ったら花村はどうするんだろう。
END
***
P4A鳴花
私はきっとどんなジャンルに行ってもこのネタを書くんだろう(^^ゞ
月が綺麗ですね。
いや実際不機嫌なのだろう。
「オレ何で呼び出された訳?」
さっきからぶうぶうと文句ばかり垂れている。
魚が逃げるから少し黙っていて欲しいものだ。
「五月蠅い。魚が逃げる」
「じゃあ呼びだすな!」
花村はキイと怒鳴った。
余程寒いらしい、まだブツブツ言う。
「大体釣りするのにオレ要らなくね?」
…お前が要らないなんてことは何時だって無いんだよ。
「今日はヌシ様が釣れそうな気がするから」
「それだけ?!」
「決定的瞬間を見せてあげようというオレの優しさだよ」
「そんな優しさ要らねえ!」
寒い!と更に花村は文句を言った。
「もっと暖かい時期に呼んでくれてもよかったんじゃねえの」
夏の間とか!せめて秋とか!
「その時は釣れる気がしなかった」
「釣ってよ!」
お前は不可能を可能にする男だろ、などと花村は無茶を言う。
正確には好きな子の前で不可能を可能に近づける努力を惜しまない男です。
ただの恰好つけだ。
文句を言いながらも帰らない花村に少し気を良くして釣り糸を垂れる。
「冬は冬でいいことがあるよ」
「ナニ?」
隣に座り込んで釣り糸を眺めながら花村が聞く。
「冬の方が星が綺麗に見える」
「そーなん?」
冬の方が空気が澄んでいるのだとか、聞いたことがある。
此方を見た花村はそのまま顔を夜空へと向けた。
釣られるように此方も空を見上げる。
大きな月が出ていた。
「あーホントだ」
「すげえ綺麗な月」
思わず花村を見た。
「…ナニ?!オレへんなこと言った?」
凝視していたら気がついた花村が吃驚したように言った。
「夏目漱石って知ってる?」
「んん?」
唐突な此方の問いに花村は首を傾げる。
そんな仕草も可愛い。
「知ってるぞ勿論、お札にもなったしな!まあ書いた話を読んだことがあるか、っつーとあんまないけど」
「だろうね」
お勉強の苦手な花村くんの事だからそんなことだと思ったよ。
馬鹿にしたニュアンスを感じたのだろう、花村は不機嫌に言った。
「なんなんだよ、それ」
種明かしは必要かな。
「夏目漱石が『I love you』を『月が綺麗ですね』って訳したって話」
「…………はあ!?」
たっぷり十秒は黙ってから花村は素っ頓狂な声を上げた。
自分が何を言ったか理解するのに時間がかかったらしい。
鈍い。
「いや違うからな!そういう意味で言ったんじゃないから!!単にホント綺麗だなって思っただけで!!」
「コクられたと思ってときめいたのに」
「傷ついた、みたいな顔を作るな演劇部!」
ちょっとどきっとしたのは本当だよ。
なんて言ったら花村はどうするんだろう。
END
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P4A鳴花
私はきっとどんなジャンルに行ってもこのネタを書くんだろう(^^ゞ
月が綺麗ですね。
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