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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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タイキ達ジェネラルは終末の千年魔獣を倒すために最後の闘いへと向かった。
「…あたしたち、今まで役に立ってたのかな」
残されたアカリは小さな声でそう呟いた。
ジェネラルではないから置いて行かれた、その想いからつい言葉にしてしまった。
ゼンジロウから強い肯定が返る。
「立ってたさ」
アカリは泣いた痕を隠す様に俯いたままその声を聞く。
ゼンジロウは決して顔を覗き込んできたりはしなかった。
意外に人に気の使える優しい奴なのだと旅の中で知った。
姉を心配するコトネを人一倍気にして元気付けようとしていたのもゼンジロウだ。
アカリ達が人間界へ戻っている間、残ると言い張ったコトネに率先して一緒に残ると言ったのもゼンジロウだった。
この小さな女の子を守ってやらなければ、と思っているようだった。
今も、泣き顔を見られたくないだろうと、気を使ってくれているのだろう。
あんな風に一生懸命元気にタイキを送りだしておきながら結局泣いてしまった。
精いっぱい何でもない風を装っておきながら耐えられなかった。
「進化の力にもなれたし、アカリ君はクロスハートの会計係みたいなこともやってちゃんと働いてたじゃないか」
でも、置いて行かれた。
タイキの側に居たかった。
人間界で心配しながら待って居るより側に居た方がどれだけ安心出来るか。
何があってもアカリの所に帰ってくるから。
だけどあんな風に言われたらどうしようも無くて、さっさと行って来いと送り出すしかなかった。
仕方ないのだ、クロス・コードというのは先天的なもので自分たちには其れが無い。
「剣道の団体戦て見たことあるよな、アカリ君」
「え、うん」
アカリは唐突な話題に驚いて顔を上げた。
見たことあるも何も、その団体戦でゼンジロウとタイキは対戦したのだ。
「だいたい5人ひと組でチーム戦するんだけど、最後に試合する大将の一番大事な仕事ってなんだかわかるかい」
「…何なの?」
勝つこと、以外に何があるのだろう。
アカリの問いに答えてゼンジロウは言った。
 
「待つことさ」
 
「平常心を保って、仲間が自分の順が来るまでに少しでも多く勝ってくれることを信じて、待つことさ」
まるで自分にも言い聞かせるかのように、ゼンジロウがゆっくり言葉を紡ぐ。
「そして自分の試合の時に全力で戦う。全力を出せる様に心を落ち着けて待つんだ」
「待つ…」
「信じて待つってのが実は一番重要で大事なことなんだ」


自分だけが、心配しているように思っていた。
だけど違った。
ゼンジロウだって此処まで共に旅してきたのだ、一緒に行きたくなかった訳が無い。
あの小さな女の子を危険な場所へ行かせてしまった、自分は此処に居て守ってやることが出来ない、其れが悔しくない筈が無いのだ。


「うん」
うん、とアカリは何度も頷いた。
クロスコードというのは先天的なもので持っていない以上仕方が無い。
だから其れ以外の所で頑張るしかない。
アカリはぐいと涙を拭って言った。
「最高の笑顔で迎えてやんなきゃね!」
絶対に元気で帰ってくると信じて待とう。


 
それが自分たちの最後の闘いなのだ。





END

***
タイアカとゼンコトのつもり
Vジャン3月号のデジクロに萌えて萌えて…!ああたまらん!
来月号はキリネネがくるって信じてる!!!

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