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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「なんあれ羨ましい!」
騒ぐ志摩の視線の先を追う。
其処には見知らぬ女性に引き摺られて行く奥村燐の姿があった。
志摩の関心は燐ではなく、女性の方に向いている。
「あのお姉さま誰?!」
「下男子の制服やから多分何時もフード被ってた山田くんかな」
言われてみれば下は確かに男子の制服だ。
しかし上は露出の多い恰好で、嫌でもその胸に目が行く。
自分の身体に自身が無ければ出来ない格好だと思う。
出雲は思わず自分の胸に視線を落とした。
ペタンコ、とまでは自虐しないが、どう贔屓目に見積もっても普通だ。
其処へ杜山しえみがやってきた。
今日のこの任務の際、着物では動きにくいから制服を支給して貰った、と言って着方を教えて欲しいと頼まれた。
着物が着れて、洋服の着方はわからないなんて珍しい子だ。
その時も、つい、胸に目がいってしまった。
着物を着ている時はわからなかったが、結構大きい。
羨ましいわけではないが、志摩の声を聞いていると複雑な気分になる。
そういえば集合場所に到着した時もしえみを見て鼻の下を伸ばしていた。
男は皆胸の大きい女の子が好きなんだろうか。
なんだかむかむかしてきた。
出雲ちゃん出雲ちゃんなんて馴れ馴れしく名前で呼んで、携帯番号教えて、なんて言ってくるくせに、此方のことなんか見ていないのだ。
別に見て欲しいわけじゃないけど。
其れでも何だか面白くないのは事実だ。
何がどう面白くないのかは上手く言葉に出来ないけれど。
それで、任務終了解散後にしえみを捕まえて聞いてみた。
「あんた、牛乳好きなの?」
唐突な問いだが、別に根拠が無いわけではない。
牛乳を飲んで胸がでかくなった、という芸能人が居た筈だ。
どうやったら胸が大きくなるのか何かコツでもあるなら教えて欲しい、という聞き方を出来ない辺りが何とも自分らしい。
しえみは眼を見開いた。
あまりにも唐突過ぎたかと質問を変えようと口を開く。
其れを遮ってしえみが言った。
「私、乳臭くないよ!」
「は?乳臭い?」
誰もそんなことは言ってない。
「…あの上一級祓魔師の人が『乳臭いこは引っ込んでろ』って…」
どうやらあの派手な人に言われて気にしているらしい。
「乳臭いって別に牛乳臭いとか言う意味じゃないわよ。子供は引っ込んでろってことでしょ」
「…わかってるけど…」
しえみは項垂れた。
 
 
「男の人ってやっぱり大人っぽい女の人が好きなのかなあ」


男の人って胸の大きい人が好きなのかな。
しえみの言葉がつい先ほど自分が思ったことと重なった。 
「さあ…人それぞれじゃない?」
この鈍臭い子も鈍臭いなりにやはり悩みを抱えているのだと知った。
そう思うと少し安心した。
 
上手く言えない言葉を抱えて、もやもやしているのは別に自分だけじゃないのだ。



END

***
仲良くなったらイイナて。

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