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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「クマ、お前今まで何処に居たんだよ」
せっかく携帯持たせたのに全然出ねえし。
クマはしおらしくゴメンクマと謝った。
「いろんなところに行ってたクマ…クマ、菜々ちゃんの為に何も出来なかったクマ。クマの正体も思い出したし…クマの居場所はもう何処にもないと思ったクマ」
馬鹿だなあ、と陽介は言った。
皆クマが居なくなって心配していたのに。
「でも菜々ちゃんが無事だってわかって、すごく嬉しくてお見まいに行ったら、菜々ちゃんクマの心配してくれてたクマ。…クマの声が聞こえたよって言ってくれたクマ」
菜々ちゃんの方がビョーキなのに。菜々ちゃんは本当に優しいクマ。
そだな、と陽介は頷く。
あの子は本当に良い子だ。
「それでクマにもまだ出来る事がある筈だと思ったクマ。菜々ちゃんの為にもやらなきゃいけないと思ったクマ」
でもその前に、力強く顔を上げたクマはまた視線を落とす。
「皆にクマはシャドウだったって言わなきゃいけないと思ったクマ…」
其れを告白するのはクマにとって、とても勇気の居る大変なことだっただろうことは想像がつく。
「クマの正体がわかったのに皆に言わないのは駄目だと思ったクマ。言わないとこの辺がモヤモヤしてすっきりしないクマ。嘘ついてるみたいで嫌だと思ったクマ」
この辺が、とクマは胸の辺りを指し示した。
何となくその気持ちはわかるような気がした。
多分、悠に対等で居たいから自分を殴ってくれと言った、あの時の自分と似たような気持ちなのだろう。
黙ったままではすっきりしなくて先に行けない。
結果、雪が降る中で殴り合いになって、傍から見たら馬鹿みたいだったとしても、自分にとってあれは前に進む為の重要な儀式だったのだ。
「嫌われたらどうしようって思ったけど、皆優しくてクマ凄く嬉しかったクマよ」
「ばあか」
エヘへと笑うクマの頭を陽介はかき混ぜてやった。
「大体お前が最初に自分で言ったんじゃないか」
 
 
一番最初にテレビに入った時に其処に居た謎の着ぐるみを開けたら中身は空っぽだった。
吃驚して、何だお前、と言ったらそいつは答えて言ったのだ。
 
 
「『クマはクマだ』って」


END

***
#24ネタ
クマがすごく可愛かったもんで
陽介とクマは兄弟みたい、と思ってます

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