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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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ジュネスでいつものバイト中、珍しい人物を見つけた。
「よう、完二。珍しいじゃん、何か買い物か?」
「花村先輩、チース」
完二はぺこりと頭を下げる。
見た目はどっからどう見ても厳つい不良だが、素直で礼儀正しい可愛い後輩だ。
さてその後輩が何をしにジュネスに来たのかというと。
「ああ、お返しか」
ホワイトデーである。
ジュネスでも特設コーナーが出来ている。
完二は頷いた。
「オレ、身内以外に貰うの初めてなんで…お返しってどんなんがいいんすかね」
身内以外に貰うの初めてって…ちょっと涙出そうになった。
いい奴なのになあ。
手先が器用で編みぐるみとか作ったりするし、料理だって結構上手い。
結構中身は草食系男子だと言うのに、かなり見た目で損をしている。
その辺上手くアピール出来ればモテそうなもんだけどな。
けれど不特定多数にモテても仕方ないのだ。
完二には思う相手が居るのだから。
 
わかりやすく顔や態度に出るこの後輩の恋を、陽介は応援してやりたいと思っている。
決して、面白がっては居ない。
 
「まあ、義理だし…この辺何かいいんじゃないかな」
悪い意味で『腕に覚えあり』な女性陣に、頼むから手作りだけは勘弁してくれとお願いした結果、皆ジュネスで購入してくれた。
したがってだいたいの値段は把握している。
義理チョコだし、貰ったものと同じ値段のもので構わないんじゃないかと思うが、それより少し上の物だと心証も良くなる。
「皆、同じもんでいいんすか」
「んー…そうだな」
陽介は二つの品物を手にとって言った。
「此れと此れ、同じメーカーの同じ値段の物だけど、中身が違う。お前だったら緑の包装紙のとピンクの奴とどっちを里中にやる?」
完二は二つを見比べて答えた。
「はあ…こっちの緑色の包装紙の方っすかね」
「そゆこと」
陽介は正解に大きく頷く。
まあアイツの場合お菓子よりも肉を寄越せとか言いそうだけども。
「相手のイメージを重視して選ぶとさらに印象は良くなる」
…筈だ、多分。
女子は貰ったもの見せ合うだろうしな。
「成程」
「でもお前にはこの方法は勧めない。全員同じものにしろ、っつーね」
「なんでっすか」
不審そうに完二は聞き返す。
「義理の場合はこっちのセンスの良さを見て貰うのもいいけどな」
「義理っすよ」
「向こうは義理でもこっちは義理じゃないってトコ見せなきゃ駄目なんだよ」
ぐい、と肩を引き寄せて耳元で言ってやる。
「ちっちゃくて可愛いあの子が好きだってちゃんと態度で示さなきゃ」
「は?!オレは別に直斗にっ」
いやオレは直斗なんて一言も言ってませんケド。
完二は本当に分かりやすい。
多分わかっていないのは当の直斗だけだ。
慌てる完二をスルーして話を続ける。
「同じものを全員に同時に渡して、あの子の分にだけもう一つ何かプラスしておくも良し、後で一人だけ呼びだして別に渡すも良し」
「……何を渡せばいいんすか」
「其処は自分で考えろよ。お前の得意分野でさ。編みぐるみでもいいし、なんかお菓子作ってやってもいいし。とにかくお前だけは特別なんだ、ってトコを見せなきゃいけないんだって!」
じゃないとこの鈍感で純情な連中は何時まで経っても先へ進もうとしないだろう。
誰かがけしかけてやらねばならない。
「いつまでも鼻血だしてるだけでいいのかよ?男を見せろ!」
「…わかりました!アザース、先輩!!」
ぐっと拳を握って完二が言う。
 
強面でガラが悪いが素直で可愛い後輩の恋を応援したい、と陽介は思ってる。
相手の一挙一動に慌てたり鼻血を出したりする完二を見て面白がってる訳ではない。決して。
 
上手くいっても玉砕しても報告しろよ、と言ったら其処は拒否られた。


END

***
完直ホワイトデー
多分義理チョコをくれたであろうということで…
完二をけしかける陽介(^-^)
いやホントあのカップルは押してやるヤツいなきゃ進まんよ、と思う訳です。

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