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扉を叩く音にクロウは鍋を覗き込んでいた顔を上げる。
おそらく隣の小さな姉弟だ。
クロウは一人分には多すぎるシチューの鍋の火を止めた。
扉を開けると思った通りニコとウエストだった。
「勇者さまお助け下さい!」
「おたすけください!」
姉の台詞を弟が繰り返す。
「どうした、娘さん」
今日のクロウの設定は勇者様らしい。
幼い姉と弟は茶目っ気と芝居っ気を兼ね揃えて大袈裟に演技する。
クロウもそれに乗っかる。
子供の遊びには付き合ってやる主義だ。
「もうすぐ魔王がお腹を空かせて帰ってくるのです」
「かえってくるのです!」
姉は目元を手で覆って泣き真似をして見せる。
「なのにお金を下ろしてくるのを忘れてしまいました」
「わすれてしまいました~!」
忘れてるのは魔王…じゃなく鬼柳だ。
この幼い姉弟は奴の遠い親戚らしい。
親を亡くした子供の面倒を見ているのはいいが、アイツはちょっと子育てには向いてない。
家事がとにかくアレなのだ。
その上よく銀行から金を下ろしてくるのを忘れて家に食料が何もない、という状況を作る。
コンビニのATMだって駅前まで行かなきゃ無い田舎だと言うのに。
「このままでは魔王がまた鬱ってしまいます」
冷蔵庫の前でorz←こんな風に項垂れる鬼柳を容易に想像できる。
「それは大変!」
クロウも大袈裟に言った。
「では魔王を迎撃する準備をしよう…ニコは皿を並べてくれ。ウエストは戸棚にパンがあるから出してくれ」
「ありがとうございます!勇者さま!」
「ゆうしゃさま!」
「今日はシチューだぜ」
もういっそ一緒に暮らした方が色々便利なんじゃないかなんて考える日々だ。
***京クロ…?
子供の面倒をみるついでに
大きい子供の面倒も見る羽目になるクロたん