現ぱろ・京クロ

雪が降った。
対して積もりもしなかったが、京介は今日は会社を休む、だからクロウも一緒に休め、とさっきまでぎゃあぎゃあ騒いでいた。
携帯をパチンと閉じて、京介が嫌そうに長く息を吐く。
だいたいどんな内容かわかっているけれど、クロウは一応聞いた。
「何だって？」
「今日は大事なプレゼンがあるから絶対来いって」
京介の上司、ルドガーからだった。
よくわかっているな、とクロウは感心する。
京介が休むつもりだろうと見越して先に電話してきたのだろう。
「んじゃ、ちゃっちゃとメシ食え」
「ん”－」
先に朝食を食べ終わったクロウは、作っておいた弁当を包み始める。
もたもたと箸を動かしていた京介の動きが止まった。
「クロウ、弁当・・なんで２つあんの？」

「お前の分」

「この雪じゃ、外に買いに出るのも食べに出るのも面倒くせえだろ」
「クロウ・・！」
弁当を作ってやるのは実は初めてだ。
京介は目をキラキラさせて此方を見ている。
「ほら、さっさと食わねえと先に出ちまうぞ」
わざと乱暴に言ってみたが我ながら照れ隠しにしか聞こえなかった。


＊＊＊
弁当あれば喜んで会社行くよ（笑）