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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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校舎を出ると雨が降っていた。
結構な土砂降りだ。
海岸に停泊中のクルーザーまでは少し遠い。
船の中で生活しているエドはほんの少し躊躇した。
土砂降り、だけが理由ではない。
雨というと、父の墓の前で佇んでいた自分に傘をさしかけてくれた、斎王のことを嫌でも思い出してしまうから。
あの頃と随分変わった。変わってしまった。
「あれ、エド。傘忘れたの?貸してあげようか?」
「・・結構だ」
後ろからやってきたのは翔だった。
「遠慮しなくてもいいよ。ボク、アニキの傘に入れて貰って帰るから」
断ったのに、ぐいぐいと傘を押しつけてくる。

傘を借りたいと、一緒に一つの傘に入りたいと
願っているのは一人だけ。

けれど今は遠い存在になってしまった。
エドは押しつけられた傘を持ったまま、ただ、斎王を想うしかなかった。

***
せっかく貸してくれたのに使わずに濡れて帰る意地っ張り

恋するカレンダー12題 2
離れて歩くずぶ濡れ相合傘。
お題
Fortune Fate


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