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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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必死になって自機を操作しながら昴が思うことはひとつだ。
なんでこうなった。


「冬になったら皆で鍋でもする?」
「…は?」
何故夏に鍋の相談などしなければならないのだろう。
この先輩は自分から何かすることはあまり好きではないのかと思っていた。
キルバラは好きだけれど、ロボットを作ることには興味は無さそうに見えた。
部長の付き添いでこの部に所属しているようだった。
つまり、面倒臭い事は嫌いなのだと思っていたのだが。
海翔は言った。
「昴くん、猫舌だっていうから」
「…いけませんか」
先日の祭りでの一件を部長から聞いたのだろう。
しかし猫舌と鍋の因果関係が咄嗟に解らなくて聞き返す。
「それと鍋とどう結びつくんですか」
「猫舌の昴くんがみたいなって話だよ」
「はあ」
つまり熱いものをなかなか食べられなくてもたもたしている自分を見て楽しもう、ということ、だろうか。
要するに嫌がらせか、と判断して昴は眼鏡を上げた。
「ボクに対する嫌がらせですか。ナンセンスです」
悪趣味だ、と言うと、海翔は心外だ、という顔をした。
「単に可愛い昴くんをみたいなって思っただけだよ」
「は?」
可愛い。
あまり自分に対して使われない形容詞だ。
「にゃ、にゃにを言ってるんですか」
「噛んだ」
指摘されてうぐ、と口を押さえる。
人が噛むたびに何故か嬉しそうに笑うのが気に入らない。
可愛いとかそんなこと、言われたくないのだ。
今までそんなこと言う人間は居なかったのに。
「猫舌の可愛い昴くんがみたい」
「そんにゃこと言われてもっ」
どうしろというのだ。
海翔はポケコンを取り出した。
「じゃあ、キルバラでオレが勝ったらみせてよ」
「…それ、ボクが不利だと思うんですけど」
圧倒的に。
22回も挑んでやっと1回勝てた相手に対して一体どうしろというのか。
「うん、どうしても見たいからさ」
悪びれもせずに海翔は笑う。
当然負ける気は無い、と。


なぜこうなった。
自問自答する間にも敗色濃厚になっていく。




END

***
カイスバ
猫舌昴可愛いよ!ってなだけの話。

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