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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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合宿二日目の朝、小金井は隣の水戸部が起きた気配で目を覚ました。
普段は姉に叩き起こされてもなかなか目が覚めないのだが。
「おはよー、水戸部」
おはよう、起しちゃった?
「ううん、いつもは姉ちゃんが部屋に入って来たって起きないもん」
練習は厳しいけどやっぱ皆と一緒にお泊まりは楽しいから寝てるの勿体ない気がする。
そう言うと水戸部は笑った。
そのうちにぽつぽつと周りも起きだした。
まだ起きない者を起こそうと動かない布団の塊に近づく。
「あ、抱き枕だ」
抱き枕を抱えて幸せそうにぐっすり眠っているのは木吉だ。
抱き枕の方も穏やかな寝息を立てている。…日向だ。
日向だって小さい訳じゃないのに木吉が大きいから抱き枕的に丁度いいカンジだ。
「なんかアレだね、人間に育てられたクマが、飼育員さんに懐いてるみたいなカンジ?」
…その例えは微妙だよコガ。
「そう?」
まさにそんなカンジなのになあ。
木吉が本当に幸せそうなので起こしたら可哀相かな、と思ってしまう。
そのうちに日向の方が目を覚ました。
しばらく状況が把握できない様子だったが、やがて自分の体に回された腕が誰のモノか気がついたようだ。
そしてその腕のせいで起き上がれないことも。
がっちり掴まれてしまっていて、どかすことが出来ないと解った日向は、木吉の腹に肘鉄を食らわした。
悶絶する木吉を放置して起き上がる。
あんなに幸せそうに寝てたのにちょっと可哀相だなあ。
小金井はそう思った。
あんな風に幸せにぐっすり眠れるのならば、抱き枕やっぱり欲しいかも、とも。
正直、あの幸せそうな寝顔が羨ましい。
そうして、いい事を閃いた。
「そう言う訳で抱き枕になってよ、水戸部」
その晩、そう言ったらば水戸部は少し困った様に小首を傾げた。
蓄音器の前で首を傾げるビクターの犬みたいで可愛い。
「駄目?」
小金井も水戸部と向い合せになって同じように首を傾げる。
いいよ。
「わーい、ありがと水戸部!」
許可が降りたところで、さて抱きつこうと思ったら、残念ながら木吉のようにはいかなかった。
水戸部の方が大きいからだ。
「何か思ったのと違うかも」
そう呟くと水戸部はやはり少し困ったようにそっと小金井に腕を回してきた。
此れじゃオレが抱き枕じゃないかな。
でも何だか幸せだ。
水戸部にひっついているとよく眠れそうな気がする。
小金井はふふっと笑った。
水戸部も僅かに笑った気配がある。
水戸部もきっと幸せそうに寝こける木吉がちょっと羨ましかったに違いない。

 
オレが水戸部の抱き枕になったげるから、水戸部はオレの抱き枕ね!
 
水戸部の背中に腕を回して小金井は目を閉じた。

 
「ああ、癒されますね」
翌朝、抱き合ってすやすやと眠る水戸部と小金井を見た黒子の発言に、皆が頷いたのを、寝坊した二人は知らない。


***
水金
癒し系ほのぼのカップル
しかし水戸部が喋らない分書きにくい…
でも大好きなんだよ

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