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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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『月が綺麗ですね』
高尾がその言葉の意味を知ったのはまったく偶然だった。
ネット上で「『月が綺麗ですね』ってメールしてみよう」とか言うスレを発見し、何か意味があるのかとググってみた結果だ。
そうでなければ知りもしない言葉だったろう。
ナニコレどんだけロマンチスト!
そう言ってひとしきり笑った後、うっかり、イイナと思ってしまった。
苦しく切ない胸の内をそっと伝えるのにこんなに合う言葉も無い、と。
高尾は恋をしていた。
認めたくはないが確かに恋だった。
どんなに、そんなことありえない、と自分で否定してみても、一日の内起きている時間のほとんどをソイツのことばかり考えて過ごしていては、認めざるを得ない。
気持ちを隠して側にいるのは正直辛かった。
いっそのこと告白してしまおうかとも思うけれど、今の関係を壊すことが怖くて踏み出せない。
高尾の恋する相手は男だった。
 
自主練が終わった帰り道はいつも真っ暗だ。
けれど今夜は違った。満月だ。
その光に晒されて、普段は暗い道さえ仄かに明るい。
「満月スゲーな~」
高尾は感心して言った。
昔から日本人が月を愛でてきた訳もなんとなくわかる気がする。
暗い道を照らす光。
月を呼んだ歌とかすげえ多いらしいし。
半分寝ていた今日の授業を思い出していると緑間が言った。
「月が綺麗なのだよ」
ナニソレ真ちゃんオレ『わたし死んでもいいわ』って返すトコ?
いつもの調子で笑いながら振り返って、そうチャカそうとしたけれど、言葉が喉に引っ掛かった様になって出てこなかった。
緑間は月など見て居なかった。
まっすぐ、高尾を見ていた。
「…わたし、しんでもいいわ…?」
やっとの思いで声を出すと、緑間は少し笑った。

「お前が知っているとは思わなかったのだよ」

苦しく切ない胸の内を伝えるのにピッタリな言葉だと。
高尾がそう思った言葉を緑間はどんな気持ちで今言ったのだろう。



END

***
緑高
どんなジャンルでも一度は「月が綺麗ですね」ネタをぶち込んでくる病気。
蓋を開ければ両片思いでした的な。
遅刻どころかネタ的にかすっても居ないけども
高尾お誕生日おめでとう!!!なのだよ!!!

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