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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「先輩が卒業しちゃって寂しいッス」
黄瀬が言う。
そうですね、相当懐いていましたものね。
というかすでにその先のお付き合いなのだと知っているので黒子の反応は冷たい。
「そうですか」
「黒子っち冷たい!」
案の定、犬はわっとテーブルに突っ伏した。
仕事で此方に来ていたという黄瀬と、捕まえた青峰と、マジバなう。な訳だが、騒ぐモデルは目立って本気で鬱陶しい。
あまり機嫌の宜しくない携帯を弄るガングロも結構鬱陶しい。
弄るばかりで電話するでもメールするでもない。
「でも一人暮らしのお部屋に遊びに行ったりしてるんでしょう」
悪目立ちを避けるためにそう言ったらば、駄犬はあっという間に立ち直って言った。
「そうッス!!」
その立ち直りの早さがやはりイラッとする。
えへへと笑う犬に黒子は言い放った。
「リア充爆発しろ」
「ヒドイ!!」
此方の騒ぎになど興味無さそうに青峰は携帯を弄っていた。
黒子は話を振ってみる。
「青峰くんも今吉さんが卒業されて寂しいでしょう」
個人名で。
先輩方、とは言わなかった。
青峰は此方の意図に気がつかないように答える。
「ああ?んなわけねーだろ、どーでもいいっつの。あの人はオレのことなんか放りっぱなしだったし」
黄瀬んトコとはちげーよ。
その呟きに黒子はぼそりと言う。
「それ本気で言ってるならイグナイトですけどね」
「ああ?」
本当に聞こえなかったらしい青峰をスルーして黒子は続ける。
「まあ笠松さんと違うという点では確かにその通りだったかもしれませんね」
そう言って黒子はバニラシェイクを啜った。
「笠松さんは後ろから蹴りを入れて前に進ませるタイプの人でしたが、今吉さんは2,3歩先に立って拗ねた子供が自分で立ち上がるのを辛抱強く待っているようなカンジでした」
「誰が拗ねた子供だよ」
「青峰くんのこととは言ってませんよ」
言ったも同然である。
「まあ意地を張って立ち上がらなったせいで今吉さんは卒業されてしまいましたが」
今更寂しがっても遅いってもんです。
黒子は大人しそうな顔をしているが意外と辛辣だ。
それが図星なので反論も出来ず青峰は不貞腐れる。
「でももしかしたら此れもあの人の計算だったのかもしれませんね」
「計算ってなんスか?」
「ジャイアンの法則です」
「ジャイアンの法則?」
首を傾げた黄瀬に黒子は説明した。
「普段傍若無人に振舞っている人が、たまにいい事をすると、実はすごいいい人なんじゃないかって思うアレです」
ジャイアンて映画では結構協力的だしいい奴でしょう?
成程、と黄瀬は頷いた。
「全然練習に来なかった人が真面目に来るようになったらその他の事は大概大目に見て貰えるものです」
練習に来るようになっただけマシだ、と。
実際若松が主将になってからの桐皇バスケ部はそんなカンジだ。
桃井からの話なのだろうが、見てきたかのような黒子の言葉に青峰は言う。
「結局オレの話じゃねえかテツ」
「いいえ例え話です」
言い張って黒子はバニラシェイクを啜った。
「ところで」
そう言って黒子は青峰の手から携帯を取り上げた。
「自分でかけられないのならボクがかけてあげますよ」
「テツてめえ」
「ちょ、青峰っち暴力反対ッス!」
掴みかかろうとした青峰を黄瀬が止める。
「黄瀬くんナイスフォローです」
『もしもし?』
「もしもし、今吉さんですか。黒子です。突然すみません」
『おー黒子かいな。どないしたん?此れ青峰の番号やろ』
「そうです。かけたいのにかけられなくてうじうじしているようでしたので、イラッとしまして」
「貸せ、テツ!」
青峰は黒子から自分の携帯を取り上げた。
通話中の其れを耳に当てる。
「……もしもし」
『なんや青峰、用あんなら自分でかけてきいや』
聞きなれた、でも久しぶりに聞く声が電話の向こうで笑う。

『もうガキやないんやから』

笑いを含んだ声がぷつりと途絶えた後は、ただの機械音。
携帯を持ったままプルプルと腕を震わせる青峰に黒子は声をかけた。
「どうしました、青峰くん」
「切りやがった、あの腹黒眼鏡!」
怒鳴って青峰はマジバを飛びだしていった。
「ちょ、青峰っち!」
「黄瀬くん、放っておきましょう」
澄ましてバニラシェイクを啜る黒子を黄瀬が振り返る。

「青峰くんの恋は始まったばかりなんですから」

あの人相手ではそう簡単にいきそうもないですけど。
 

***
青今
今吉さんが卒業しちゃって寂しい青峰を
もう正直ウザいんでさっさと告ってくっ付いてくれませんかホント面倒なんで
ってことで黒子さまがけしかける話
実は黄笠で黒火

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