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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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部室でスマホを弄る森山の横から小堀が手元を覗き込んでいる。
最近スマホに替えた森山は当初扱いにくいと言っていたのだが、大分慣れてきたようだ。
ネットをやるならスマホの方が便利らしい。
スマホに替えた理由が、女の子にモテそうだから、と言う辺りが安定の残念さだが。
「なんだ小堀もスマホにするのか?」
興味深々といった小堀の様子に笠松は言った。
「いやそう言う訳じゃないけど、森山が賃貸のサイト見てるから」
「ネットの方が情報早いしな」
森山が言う。
「笠松だって大学行ったら一人暮らしするんだろ?早めに部屋見つけておいた方がいいぞ」
「……そうだな」
そうだ、そろそろそういうことも考えなくてはいけないんだった。

まだバスケのことだけ、考えていたいのに。

笠松の気持ちを察したのか、小堀がフォローのように言う。
「春になってからだと、いいトコはもう埋まっちゃってるから、早い方がいいんじゃないかって話だよ」
そんな慌てて決めることでもないけどね。
小堀が気を使ってそう言ってくれるのはよくわかったので、笠松も反対側からスマホを覗き込んで見た。
「笠松はペット可物件じゃないと駄目だしな」
尚更早く探さないと。
森山の言葉に笠松は首を捻る。
「ペットを飼うつもりはないぞ」
「もう飼ってるじゃないか」
笠松の家ではペットは飼っていないし、一人暮らしでちゃんと世話できるかわからないのに飼うつもりも無い。
其れは森山だって知っている筈だ。
森山が出入り口の方を指す。
「ほら」
丁度部室のドアが開いてゴールデンレトリバー、もとい黄瀬が入って来たところだった。
ああ、なるほど。
「…って、飼ってねえよ!」
思わず納得しかけたことは棚に上げて森山をドツく。
黄瀬は此方で騒いでいるのが気になったのか、話題にされていると気付いたのか、ひょこひょこと此方にやって来た。
「どーしたんスか?」
ケロリと森山が言う。
「いや笠松が大学行って一人暮らし始めたら、黄瀬も遊びに来いよって」
「言ってねえ!」
突っ込んだが其処は聞こえなかったかのように犬は尻尾をぶんぶん振り出した。
「ホントっスか!嬉しいッス!!!」

実を言うとこのまさに犬っコロのようなきらきらした目にちょっと弱い。
素直に嬉しいという気持ちに溢れていて無碍に出来ない。
自分が結構犬が好きだったと言うことに最近気がついた。

「…ちゃんとサボらずに練習したらな」
「勿論サボったりしないッスよ!」
仕事も一生懸命やるっスけど!
多分この犬に弱いことを勘付いている悪友がにやにや笑う。
「黄瀬が泊まりに来ても布団敷けるくらいの部屋は借りないとな」
そして早めに部屋を見つけとけば、と言う話に戻るらしい。
しかし黄瀬はきょとんとして言った。

「えっ、オレ、先輩の布団で一緒に寝るから全然大丈夫ッスよ?」

「てめえ何言ってんだシバくぞ!!」
口より先に手が出てしまったのはいつものことだが、この場合仕方ないと思う。



END

***
黄笠
周囲から飼い主認定されてる先輩と
安定のわんこ。
そして実は付き合ってる(笑)
バレテいないと先輩は思っているけど多分勘付かれてる(^^ゞ
黄瀬はぽろっと余計なことを言ってしまうタイプかと。

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