ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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こころの大樹に向かって呼びかける。
「コロン」
『ゆり』
触れることは出来ないけれど、以前と同じ姿で現れた自分のパートナーにゆりは優しく微笑んだ。
『今日は、皆で来たのかい?』
「ええ」
向こうではつぼみたちがこころの大樹に寄りかかってのんびりと空を眺めている。
ミラージュで簡単にこころの大樹に行けるようになったのだから、皆で行こう、と主張したのはえりかだった。
来る決戦へ向けてこころを癒し鋭気を養うべき、というのがその大義名分ではあるが、本当のところは違うのだとゆりは知っていた。
ただ、ゆりをコロンと一緒に過ごさせてあげたいと思っただけ。
「本当におせっかいな子たちなのよ」
そう言うゆりは先ほどより優しい笑みを浮かべていた。
***
ゆりさんにしがみ付くえりかが超可愛かったですよ。
顔を見るなり手をぎゅうと握ってきたえりかに、少し驚いてさつきは言った。
「つぼみのおばあちゃんから教わったんですけど、『手当て』って言うんじゃないですか」
「うん」
唐突な話に、取り敢えず頷く。
この間転んで擦りむいたときに、その怪我を手当てして貰ったらしい。
その時聞いた話のようだ。
「『手当て』って本当に『手を当てる』からきてるんだそうです」
「治って欲しいって気持ちを込めて手を当てることからきてるんだそうです」
「私は元気だけが取り柄だから」
てへへ、とえりかは笑う。
成程、自分の元気を手から分けてくれようとした、らしい。
気持ちがとても嬉しかったのでさつきも笑った。
元気が貰えた気がした。
***
手を握る
何を思い出したのか、さつきがくすくすと笑う。
「来海さんて言ったっけ。あの、小さい子。あの子はホントいつも元気だね」
「ええ、そうですね」
いつきも一緒に笑った。
「いつきはお日さまみたいに、皆を温めて元気にしてくれるけど、あの子の元気は皆を巻き込んで引っ張り回す元気だね」
「確かに、そんなカンジですね」
いつきは言った。
「おにいさまが手術の時に『元気になれる嬉しい手術なんですよね!』って言われました」
ポジティブシンキング、というのだろうか。
前を向いて、その先にイイコトがあると信じてる。
「その言い方が本当にえりからしいなって」
小さな体でいつでも元気いっぱい。
後ろ向きな考え方なんて持ってないんじゃないかと思うくらい。
あのパワーに巻き込まれて、もっとおにいさまが元気になってくれたらいい。
***
妹公認