ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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人間に構うつもりはなかった。
祭壇に蹲っていたのは小さな子供だった。
痩せこけて今にも死にそうなオレンジ色の髪の子供。
今年は雨が少なくて、作物の出来が悪かった。
小さな子供や年寄り、弱い者から順に犠牲が出ている。
他に術もない人間が、神に縋るのも無理の無い話なのだろう。
つまりこの子供は雨を乞う生贄、という訳だ。
こんながりがりのガキ寄越されてもなぁ。
腹の足しにもなりそうもない。
龍は小さな子供を覗きこんだ。
子供はようやっと瞼を上げて龍を見た。
「きいろい目のリュウ・・・おまえもはらへってるの」
お前も、と子供は言った。
「オレのこと食べてもいいよ」
「はらへるの、つらいよな」
馬鹿じゃねえの、と再び目を閉じてしまった子供を見下ろして黄色い瞳の龍は思う。
人の心配してる場合か。
人間にかかわるつもりはなかった。
あの連中が死のうが苦しもうが放っておくつもりだった。
だって関係ない。
自分は人間ではないのだから。
そう、思っていたのだ。
つい数秒前まで。
***
ぱられる京クロ
黄色い目の龍の話。
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