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大変怖い顔で自分を見下ろしている。
此れは、相当怒っているな。
Ⅲはそう思ったから先ず謝った。
「ごめんなさい、Ⅳ兄サマ」
「ごめんなさいじゃねえ」
兄は言った。
やはり怒っている。
「お前オレがなんで怒ってんのかわかってんのかよ」
「勝手に遊馬とデュエルをしたから」
そして負けたから。
いや、負けたことを兄は怒っているのではない。
その後しばらく眠ったきりになってしまった、其処の所だ。
「だいたいお前は甘ちゃんなんだから、そーゆーのはオレに任しときゃいいんだよ」
ぶつぶつ文句を垂れる兄にⅢは笑った。
「何笑ってんだよ」
兄が不機嫌に問う。
「ごめんなさい、兄サマ」
こんな不機嫌な、怒っている振りをしているけれど、本当は自分のことをすごくすごく心配してくれていたんだ。
そう思うと嬉しくてつい笑ってしまう。
けれどそれを言ったら、兄は照れてまた怒るだろうから、Ⅲは再び謝っておいた。
***
ⅢⅣ
いや実際はトロン一家は寝てるⅢちゃんを置いて
決勝大会へ行っちゃったわけですが…(^^ゞ
「さてと、そろそろ寝ようぜ」
『一晩の御情けを頂戴します』
「一晩の…なんだって?」
またなんか妙な言葉覚えてきたな、このテレビっ子め。
『一緒に寝る時はそう言うものなのだろう』
私は眠らないが。とアストラルは無駄にどや顔をする。
じゃあ言うなよ。
つかなんだその一晩のうんちゃらって。意味がわかんねえ。
というかまあ覚えた言葉を使いたいだけなんだろう。
ええと最近エスパーロビン以外でアストラルが熱心に見てたのって…。
「時代劇かよ」
言うと、アストラルは大きく頷いた。
「あのなあ、其れは昔の人の言った言葉なの!今はフツーそんなこと言わないんだって!」
『そうなのか』
翌日夕飯の時に其れを思い出したので姉ちゃんに聞いてみた。
「姉ちゃん<一晩の御情けを頂戴します>ってどういう意味?」
姉ちゃんは味噌汁に咽て、しばらくげほげほした後、怒鳴った。
「子供には早い!!」
怒鳴られて、この話はオシマイになった、とオレは思っていた。
意味なんかどうでもいいし、デュエルに関係ないし、アストラルは今は使わない言葉ってことで納得したみたいだし。
と、思っていたら。
「さー寝るかあ」
そう言ったら上に浮かんでいたアストラルがススス…と降りてきてオレの口に……いやまてっ!!
「何してるんだよアストラル!!」
慌てて飛び退いたらアストラルは何故逃げるんだ、という顔をした。
まあ実際オレとアストラルは触れ合う事は出来ない訳だけども!
でも逃げるだろフツー!!
オレの動揺を余所にアストラルは言った。
『おやすみのキスだ、遊馬』
「だからフツーはそんなことしないんだって!!」
今度は何を見たんだこのテレビっ子め!!!
***
テレビっこアストラルさんに振り回される遊馬くんである。
ゆっくりゆっくり、ただ沈む。
此れが夢だとわかっていた。
けれどどうしても瞼を開けることが出来ない。
『馬鹿だな、お前は』
時折、暗い海の中に言葉が降ってくる。
ここ数年で聞きなれてしまった、嘲笑を含む声ではない。
辛そうな、心配そうなすぐ上の兄の声。
お前は此処までしなくてよかったのに。
そんなことは全部オレがやるのに。
自分を責める声。
それから、髪に、頬に、優しく触れる指先。
この手は一番上の兄のものだ。
すっかり変わって、歪んでしまったと思っていた。
けれど降ってくる光は、こんなにも温かい。
今すぐ大切な家族に抱きついて「大好きだ」と伝えたいのに、どうしても目を開けることが出来なくて。
昏い海に、ただ、沈んでいく。
***
トロン兄弟
しばらくⅢちゃんは戦線離脱かな…
変な儀式を受けるⅢちゃんをⅤ兄さんが辛そうにしたり
タッグの時吹っ飛ばされたⅢちゃんをⅣさんが「Ⅲ~!」って呼んだり
歪んじゃったとⅢちゃんに言われる家族だけど
その実ちゃんとⅢちゃんのこと大事に思ってるんじゃないかなて。
喧嘩するほど仲が良いとは言うが、とりあえず仲裁しようとⅤが中に入ると、末弟が半泣きで訴えてきた。
「Ⅳ兄サマとⅤ兄サマのお嫁さんになるって言ったらⅣ兄サマが駄目だって」
「だってお嫁さんって女がなる奴だろ?Ⅲじゃ無理だろうよ」
確かに。
「じゃあ兄サマ達のお婿さんになる!お婿さんなら男でもなれるでしょ!」
「ええと…それなら大丈夫、か…?」
Ⅲに迫られてⅣが首を傾げつつ考える。
いやまったく大丈夫じゃない。
男同士では結婚は出来ないし、兄弟ではもっと無理だ。
しかし三男がとてもいい笑顔で嬉しそうに言うのだ。
「そうしたらずっと兄サマ達と一緒に居られるよね!」
そんな風に言われたら長男もそうだなと頷くしかない。
***
仲良し兄弟
いやもう昔の兄弟の可愛らしさに
すごい勢いで食いついてますよ。
やべえ。
疲れている兄の為にキャラメルを探しに街へ出た、そのことからも其れがわかる。
カイトも本来は優しい人間なのだと思う。
カイトとのデュエルで、敗者はナンバーズごと魂までも奪い取られてしまう。
『オレは弟の為に魂を売った』
おそらくカイトにとってそれは辛いことなのだ。
けれど弟の為に心を鬼にした。
二人とも、優しい。
遊馬も多分そう感じたのだと思う。
だから迷ってる。
私の記憶と、ハルトの病気と、カイトの苦悩と。
どれも解決したくて、助けたくて、でも全部は無理で。
遊馬も、優しい。
けれど選ぶのは遊馬自身だ。
『私はこのデュエル力を貸すことは出来ない』
私を選んで欲しいなどと、優しい遊馬に言える筈もない。
***
遊アス
其処で迷われたらアストラルかわいそじゃね?と思った…(^^ゞ
一番付き合い長いのにさー