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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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子供は縁側に座って暇そうに足をぶらぶらさせていた。
その足には包帯が巻いてあるが、この様子では大した怪我ではなかったのだろう。
怪我したのだから大人しくして居ろと大人に言われて不満顔、といったカンジだ。
「おー元気そうやん」
そう言って持っていた虫取り網と籠を振って見せる。
「ホントに拾ってきてくれたんだな!」
子供は此方を見つけると駆け寄って来て笑った。
山に蝉取りに来て木から落ちたらしい子供を祖父母の家まで送ってやったのは単なる気まぐれだった。
結構な高さから落ちたのに泣かなかった子供にほんの少し感心しただけだった。
子供が落とした網と籠をあまりに気にするので明日拾ってきて届けてやると約束したのも、ただ五月蠅いから、それだけ。
「きつね、ありがとな!」
買って貰ったばっかだったんだ、と子供は嬉しそうに笑う。
ちょっと可愛い。
しかしきつねという呼び方は気に入らない。
「きつねってなんや、今吉さん呼びい」
「今吉」
「呼び捨てすんなや。ワシはお前の何倍も長生きしとんのやで」
年上に対する礼儀がなっとらんわ、というと子供は言った。
「今吉サン、そんな年寄りなのか。若作りだな」

「誰が若作りや」



「人間なんて10年も経てばワシのことなんか忘れると思うとったわ」
誤算やった、と狐は人の腕の中で大袈裟に嘆く。
忘れると思ったからこそ、正体がばれても放置しておいたのだろう。
「うっせえな」
「しかもこんな馬鹿でかくなってからに」
抑え込まれて動けないのも不満なようだ。
「昔はこーんなちっこくて可愛かったんにのう」
「悪かったな、でかくなって」
アンタは全然変わらないな、と大輝は心の中で呟いた。
小さい頃、若作り、と称したその容姿はあの頃から少しも変わっていない。
「当たり前や」
妖孤は笑う。
「ワシは人間とはちゃうからの」

知っていることなのに胸の奥が痛むのは何故だろう。



***
青今
ショタ峰(人間)×狐今吉さん
ショタ峰が狐さんの尻尾もふもふ!と思っていたのに
なんか違う。

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