ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「何でスルメなんか要るんだよ」
「は?スルメ?」
携帯を弄りながら大輝が言う。
今吉から見ればまだまだ子供だが、そう呼ぶには抵抗があるほど身体は大きくなった。
しかし尻尾を弄りながらゴロゴロする姿は昔と少しも変わらない。
「ユイノーに居るモノ」
「ユイノー?」
結納。
「…なんや其れ」
脳内で漢字変換出来た途端声が低くなった。
何を言い出したのだこの子供は。
「ネット」
ネットって便利だなーちっと検索かけりゃ全部解るわ。
呑気に大輝は言う。
狐には縁の無い、人間の文明の利器って奴はなかなか有能らしい、が。
「そないこと聞いとるんとちゃうわ。結納ってなんや」
「アンタとオレの」
しれっと大輝は答えた。
「スルメより稲荷寿司とかのがいいか?」
「スルメなんてよう食わんしな。っていやそう言う問題ちゃう。何でワシとお前が結納かわさなあかんのや」
「今吉サン年寄りだからそういうケーシキ?とか拘るかと思って」
年寄りてなんや。
突っ込みたい処は多々あったが、それでは話が進まない。
「一応聞くが、ジブン、ワシと結婚する気なんか」
「前からそう言ってるだろ」
聞いてなかったのかよ、と大輝はむくれた。
こういう所は子供の頃とまるで変わっていない。
今吉は頭を抱えた。
子供の言うこと、と思っていたが、本気だったとは。
「ガキや思うて流しとったワシが悪かったわ。あんなあ大輝、人間と妖怪はホンマに結婚でけへんのやで」
「なんでだよ」
昔話では良くあんぞ、と大輝は言う。
そんな御伽話と一緒にするなっちゅうんや。
面倒ではあるがきちんと説明しなくてはならない。
「妖怪と結婚するっちゅーのは人間やめるちゅーことや」
「いいぜ」
即答に怯んだのは狐の方だった。
「簡単に言うんやない。オマエは其れでええかもしれんが親はどないすんねん。大輝居なくのうたら悲しむで」
親だけではない、友達とも、仲間とも、会えなくなるのだ。
「それでええんか」
「だってオレ今吉サンと一緒に居たいし」
阿呆だということは知っていたが此処まで阿呆とは。
今吉は長い溜息をついた。
「もう少しちゃんと考えや」
少し考えて今吉は続ける。
「…せやなあ、あと5年たって大輝の気が変わらんかったら、ワシも腹括るわ」
この子供と出会って、10年。
妖怪にしたらあっという間の時間。
自分は変わらないけれど、子供は大きく育った。
それだけでも住む世界が違うのだと、もっと早く気が付くべきだった。
この10年、楽しかった、けれど。
もう、この子供と会うことは出来ない、と思った。
この子供がこんなに眩しいのは人であるからだ。
だらだらと長い時間を生きている妖怪とは違う生き物なのだ。
大輝は狐の腕を掴んだ。
「放しい」
「やだね」
大輝は言った。
「今放したらアンタどっか行っちゃう気がする」
どんだけ勘ええんや。
掴まれた腕を振りほどくことも出来ずに狐は途方に暮れた。
***
青今
ショタ峰(小学生→高校生)×狐吉さん
もう観念してさっさと結婚してやれよ的な。
狐吉さんに続きを!と言ってくださった方がいらっしゃったので
調子こいてみました。
狐吉さんの尻尾もふもふ
「は?スルメ?」
携帯を弄りながら大輝が言う。
今吉から見ればまだまだ子供だが、そう呼ぶには抵抗があるほど身体は大きくなった。
しかし尻尾を弄りながらゴロゴロする姿は昔と少しも変わらない。
「ユイノーに居るモノ」
「ユイノー?」
結納。
「…なんや其れ」
脳内で漢字変換出来た途端声が低くなった。
何を言い出したのだこの子供は。
「ネット」
ネットって便利だなーちっと検索かけりゃ全部解るわ。
呑気に大輝は言う。
狐には縁の無い、人間の文明の利器って奴はなかなか有能らしい、が。
「そないこと聞いとるんとちゃうわ。結納ってなんや」
「アンタとオレの」
しれっと大輝は答えた。
「スルメより稲荷寿司とかのがいいか?」
「スルメなんてよう食わんしな。っていやそう言う問題ちゃう。何でワシとお前が結納かわさなあかんのや」
「今吉サン年寄りだからそういうケーシキ?とか拘るかと思って」
年寄りてなんや。
突っ込みたい処は多々あったが、それでは話が進まない。
「一応聞くが、ジブン、ワシと結婚する気なんか」
「前からそう言ってるだろ」
聞いてなかったのかよ、と大輝はむくれた。
こういう所は子供の頃とまるで変わっていない。
今吉は頭を抱えた。
子供の言うこと、と思っていたが、本気だったとは。
「ガキや思うて流しとったワシが悪かったわ。あんなあ大輝、人間と妖怪はホンマに結婚でけへんのやで」
「なんでだよ」
昔話では良くあんぞ、と大輝は言う。
そんな御伽話と一緒にするなっちゅうんや。
面倒ではあるがきちんと説明しなくてはならない。
「妖怪と結婚するっちゅーのは人間やめるちゅーことや」
「いいぜ」
即答に怯んだのは狐の方だった。
「簡単に言うんやない。オマエは其れでええかもしれんが親はどないすんねん。大輝居なくのうたら悲しむで」
親だけではない、友達とも、仲間とも、会えなくなるのだ。
「それでええんか」
「だってオレ今吉サンと一緒に居たいし」
阿呆だということは知っていたが此処まで阿呆とは。
今吉は長い溜息をついた。
「もう少しちゃんと考えや」
少し考えて今吉は続ける。
「…せやなあ、あと5年たって大輝の気が変わらんかったら、ワシも腹括るわ」
この子供と出会って、10年。
妖怪にしたらあっという間の時間。
自分は変わらないけれど、子供は大きく育った。
それだけでも住む世界が違うのだと、もっと早く気が付くべきだった。
この10年、楽しかった、けれど。
もう、この子供と会うことは出来ない、と思った。
この子供がこんなに眩しいのは人であるからだ。
だらだらと長い時間を生きている妖怪とは違う生き物なのだ。
大輝は狐の腕を掴んだ。
「放しい」
「やだね」
大輝は言った。
「今放したらアンタどっか行っちゃう気がする」
どんだけ勘ええんや。
掴まれた腕を振りほどくことも出来ずに狐は途方に暮れた。
***
青今
ショタ峰(小学生→高校生)×狐吉さん
もう観念してさっさと結婚してやれよ的な。
狐吉さんに続きを!と言ってくださった方がいらっしゃったので
調子こいてみました。
狐吉さんの尻尾もふもふ
PR