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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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ぼんやり釣りをする自分の隣で、垂れた釣り糸を同じようにぼんやり見ていた花村が言った。
「釣れんの?これ」
「ああ」
今日はまだアタリは無いけれど、釣れる時は釣れる。
「食うの?」
「小さいものはリリースするよ」
そう言うと花村は笑った。
「太公望みたいだな、お前」
太公望?ああ、封神演義ね。
お世辞にも勉強が好きとは言えない花村がそんなモノを知ってるなんて、とちょっと思ったが、あっさり漫画で読んだ、と言われた。
「太公望は仙人だからだろ」
確か仙人には殺生禁止みたいなルールがあった筈だ。
「でも軍師で強くてすげえじゃん」
…なんだろう、オレのことを高く評価してくれるのは嬉しいが、花村は少し美化し過ぎている気がする。
「仙人は」
オレの声に此方を向いた花村の唇にそっと触れる。
「こういうことしないと思う」
「…かもな」
一呼吸置いてそう返事した花村がやけに可愛らしかったので、お持ち帰りしたい気分になった。

そんな俗物なんだよ。

***
鳴花
ヒーローではないんですよ的な。

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ガッカリ王子とは花村のことなのだそうだ。
美形なのに喋るとがっかりする、が周りの評価ということらしい。
「まあ顔だけは良いってお墨付き貰ってるようなものだし?」
気にしていなさそうに何時もの軽い調子で花村は笑う。
「いつか中身も好きって言ってくれるコが現れるさ」
「うん」
鳴上は言った。
「好きだよ」

明るくて世話焼きでお調子者で
優しい、寂しがり屋。

「…あんがとな」
冗談として受け流そうか、茶化そうか、迷ったんだろう。
でも花村は結局照れたように笑った。



***
鳴花
まずはお友達から。

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「飼育員、人間は泳げんのか」
シシドの問いに華は答えて言った。
「泳げるよ、一応。まあ魚ほど上手じゃないけどね」
肺呼吸をする地上の生き物は、えらで呼吸する水中の生き物ほど上手くは泳げない。
シシドは続けた。
「魚なら、上手く泳げるのか?」
シシドは、泳げない。
泳げるようになりたいのだろうか、それとも。
「魚に。なりたいの」
「なりたくねえよ!」
躊躇いがちに問えば即座に否定される。
けれど。

なりたくねえ、けど。

再戦を望んでいるのか、再会を望んでいるのか。
それは多分シシド本人もまだわからないのだ。

***
サカ←シシ
と姉弟

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「雪男、オレはサタンのすっげー秘密に気がついちゃったぜ」
「サタンの秘密?」
何を言い出したのか、と雪男は実兄を見た。
胡乱な雪男の視線を気にすることなく燐は続ける。
「オレ達はサタンの憑依体とエクソシストの間に生まれたんだろ?」
「ええ、そうですが」
「サタンは物質界に同等の物質が居ないから長いことコッチには来られない」
「そうですね」
「っつーことはさ」
とと、と寄ってきた燐はとっておきの内緒話を打ち明けるように雪男に耳打ちした。

「あいつ、ソーローだぜ!」

燐の言葉を聞いてしばらくフリーズしていた雪男はやがて長い長い溜息をついた。

***
いやスマン下品なネタで。
だってさーあんまし物質界に居られないんでしょ、サタンて。

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小さい頃は、どうして自分ばっかり、と思っていた。
うじゃうじゃと纏わりつく小さな小鬼が怖くて仕方無かった。
自分には見えるのに、兄には全く見えていないのが不公平だと感じていた。
でも、違ったんだ。
身体が弱かったからサタンの力は受け継がなかった。
その力は全部兄が受け継いだ。
辛いこと、嫌なことを、全部兄に押しつけていたんだ。
だけど、今は違う。
小鬼が怖くて泣いていた頃とはもう違う。

此れからはボクが兄さんを守るよ。

内に秘めた言葉を、告白であると雪男は自覚している。

***
雪→燐

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