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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「大切な人に嘘をついたり隠し事をするのは悪だと思うんです」
その青い瞳に何かいつもと違う色を乗せて、アメリアが顔を上げる。
「ゼルガディスさん、私は悪でしょうか」
「一概にそうは言えないんじゃないか」
大切な相手に隠し事をされたと知ったらショックを受けることもあるかもしれない。
けれど。
「優しい嘘と言うのもある」
騙し陥れる為ではない、相手のことを思いやる相手の為の嘘。
「そう…そうですね」
一度視線を落としたアメリアは、勢いよく再び顔を上げた。
「でもやっぱり私は隠し事は苦手です」
叫ぶように言う。
「私はゼルガディスさんが大好きです」
言うだけ言ってさっぱりした、という風にアメリアは言った。
「じゃあおやすみなさい!」
ちょ、待て待て。
ちゃ、っと手を挙げて去って行こうとするアメリアを、思わずゼルガディスは呼びとめた。
「なんですか、ゼルガディスさん」
振り返ったアメリアはもうすでに眠そうだ。
どんだけ早寝早起きなんだとぼやきたくもなる。
「いやその、こういう時は返事を聞くもんだろう」
アメリアは大きな眼をぱちくりさせた。
其れから大音量でまた叫ぶ。
「ええっゼルガディスさん私の事嫌いなんですかっ」
叫んだ後はその目玉をうるうるさせ始める。
「いや好き、好きだぞ!」
泣かれては大変、と思わず此方も焦って連呼してしまう。
好きな子を泣かせて平気な男が居ようか。
「良かったぁ…」
心底ほっとした顔でアメリアがふにゃあと笑う。
セルガディスもほっとして息を付く。
「じゃあ、おやすみなさい!」
と、その間に挨拶を残してアメリアは宛がわれた部屋へと消えてしまった。
呼びとめようとした手が宙を彷徨う。
あの子の好きは自分の好きと種類が違うのだろうか。
LOVEよりも果てしなくLIKEに近い気がする。
いや本人がLOVEだと気が付いていないだけか。
どちらにせよ自分は好きだと告げた。
向こうが解っていないとしても、この状況から見て絶対に解っていないだろうけれども、一応進歩と言えるのではないだろうか。
「言える訳ないでしょうがこの阿呆―!」
「リナ!」
後ろからスリッパで一撃食らわされて慌てて振り返る。
「心の声が駄々漏れだっつーの」
一撃を入れた張本人は腕を組んで踏ん反り返る。
「アンタはそんなことで満足してていいの。あの子はねえちょっと正義大好きが行き過ぎたお馬鹿で鈍い子だけどもいい子なのよ。あんな子がふわふわ歩いてて他の男が引っ掛かって来ないとか思ってんの!」
「そ、それは」
「シャーラップ!其れは、とか言ってる場合じゃないわよ、お黙んなさい。そしてさっさと追いかけてLOVEとLIKEの違いを切々と説いてきなさい!!」
もう一度引っ叩かれてゼルガディスはアメリアの部屋へと向かう。
「まあ、もう寝てるかもしれないけどねえ…」

炊きつけるだけ炊きつけておいて、とりあえず面白いから覗きに行こう、とその後を追いかけるリナだった。


END

***
ゼルアメ
唐突に再燃して一本書いたり。
やっぱ好きだわあ。

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「あら今日はアコちゃんと一緒じゃないの」
学校からの帰り道、弟と一緒になった。
「うん、アコのヤツ今日はクラスの女子と何か約束があるんだって」
「へえ」
此方に来たばかりの頃、アコはあまり人と話さない子供だった。
友達も居なかった。
父が突然悪に転じ、母と対峙することとなってしまったアコの境遇を考えると、其れは当然だったとも言えるが。
「よかったじゃない」
アコちゃんに友達が増えて。
奏がそう言って笑うと奏太は頷いた。
「うん」

「でもちょっとつまんない、かも」

前は自分だけの友達で一番の仲良しだったのに。
奏太の気持ちはわかる気がする。
けれどそれは「つまんない」じゃなくて「寂しい」って言うんじゃないかしら。
もしくは……ヤキモチ?

とりあえず頑張れ奏太!と奏は心の中でエールを送るのだった。

***
奏アコ+奏

拍手文でした。

 

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カッコ良い大人の男。
そんな風に思われる探偵になりたかった。
 

母親が事故ったと聞いて慌てて駆けつけてみたらば、事故にあった人を助けて病院へ行った、の間違いだったのだそうだ。
紛らわしい心配させやがってと怒る完二を、母親は病院で大声を出すな、と怒ったのだとか。
完二は本当に母親思いの優しい人なのだと思う。
伝説のように語られる暴走族殲滅の逸話も、元は母親の為であったという話だ。
何度か完二の家に遊びに行く間柄になって、その母親とも話す事が増えた。
さすが完二を育てた人なことはある、と思う。
古風な母親でありながら、言いたい事ははっきりと言う。
カッコ良い母親だと思った。
カッコ良い大人の男、そんな風に思われる探偵にずっとなりたかった。
大人の男でなければ探偵として認めて貰えないような気がしていた。
けれど別に『大人の男』でなくたってカッコ良く有ることは可能なのだ。
いつか、自分が子供を産むような事があったら、カッコ良いと子供に思われるあんな母親になりたい。
「巽くんと結婚した人はこの巽屋を継いで此処の女将になるんですね」
店内を見回して直斗は言った。
その言葉に完二が言う。
「いやお前は優秀な探偵だから、結婚したってそのまま探偵続ければいいんじゃねえか。カッコいい探偵になるのが夢なんだろ?」
「えっ」
「へっ?」

 
「ぼ、ボクの話なんかしてませんよ!」

 
カッコ良い探偵になりたかった。
其れは多分、何処に居たって可能なことなのだ。

誰かが側に居てくれるなら。


***
完直
カッコよいの定義って人それぞれよねって
完二カッコよいよねって

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学校帰り、花村と一緒になった。
雪子は家の手伝いが忙しいらしく、今日は先に帰ってしまった。
家を継ぐと決めて積極的に動き出した親友は前よりもずっと生き生きしていて、見ていて此方も嬉しい。
大好きな誰かが幸せそうなのはやっぱり嬉しい。
けれどやっぱりちょっと寂しいのも事実で。
いつも隣に居てくれる親友が居ないと、その空間にぽっかり穴でもあいたような気持ちになる。
陽介も去年はそんな親友が居た。
何時も一緒、だった。
そんな素振りは見せないけれど、寂しくない訳がないと思う。
「何か今日は肉が食べたい気分~花村の奢りで」
「何でだよ!」
「私の幸せな気持ちを分けてあげようって言ってるのよ」
以前雪子に言われた事がある。
千枝はすごく幸せそうに肉を食べるからこっちまで嬉しくなる、と。
なんじゃそりゃ、と花村は笑った。
「んじゃ行くか」

花村は敏いヤツだから、きっと元気づけようとしてくれてんだなって気が付いてしまっているだろう。
そういう気遣い下手でゴメン。

でもやっぱり大好きな誰かには幸せに笑って居て欲しいものなのだ。

***
花千枝
鳴上君が帰った後

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「こんなロクでもない事仕出かした女を嫁に貰おうなどというお馬鹿がおるとは思わへんかったわ」
もう少しで不浄王の瘴気が街へ流れ出し、多くの人が死ぬところだったのだ。
この罪を思うと、自分の幸福など考えてはいけない事だと思うのに。
「此処におるやろ」
柔造はいい笑顔でしれっと言った。
「お前の愛する旦那さまが」
「だ、誰が旦那さまや!あてはまだ承諾してへんで!!」
 
…ああ、『愛する』の所は否定しないんだ…
 
この新婚さんたち(予定)の、どうみても惚気にしかみえないやりとりを、今後ずっと見せつけられるのか。
その場にいた全員が、つい遠い目をしてしまった。
 

***
柔蝮
蝮たんがデレた!!!!
ああもう蝮たんはやっぱ柔兄が好きだったのね!!!
公式カプ万歳!!!!
本屋で(←)悶えました。

SQ5月号ネタばれですよ

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