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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「なんか納得いかないんだけど」
ぼやくと昴は眼鏡をくいと上げて此方に向き直った。
「何がですか」
「21勝もしたのに、ってこと」
たった一回の敗戦で言うことを聞く羽目になるとは思わなかった。
というか其処まで粘られるとは思わなかった。
謂わば昴の粘り勝ちであり、その点で言えば負けたのだから仕方ないのだが、どうにも理不尽だ。
「ボクが負けた場合のペナルティは設定していなかった筈ですが」
「確かにそうだけど、一回くらい言うこと聞いてくれてもいいんじゃない?」
「ナンセンスです」
そんな約束はしなかった、と昴は突っぱねる。
しかし、だって21勝もしたんだよ、そう言えばうっと詰まった。
「…何をすればいいんですか」
「そうだなあ」
「ボクに出来ることですか」
「うーん…」
ゴネてはみたものの、特にして欲しいことも無かった。
ただ負けない自信があったキルバラで負けたことが面白くなくて駄々を捏ねただけだ。
でもまあ言うこと聞いてくれそうだし、なにかして貰うかな。
海翔は『居る夫。』を覗き込みながら考える。
そうしてこの間ダウンロードしたアプリを起動させた。
ネコミミメイド服の後輩は思いっきりイヤ耳だった。
全身で此方を警戒しているネコ。
思わず噴き出した。
「にゃに笑ってるんですかっ」
思った通り何を言われるかと身構えて緊張していたらしく、噛んだ。
可愛い奴。
ちょっとからかってやりたくなった。
「じゃあ、キスしてよ」
「………は?」
随分間があってから昴は間抜けな声を出した。
「だからキスしてって」
「にゃんでそんなことしなきゃにゃらないんですか」
噛みまくってる。可愛い。
「罰ゲームみたいなもんかな」
可愛い後輩を困らせて面白がろう的な。
昴は唸った。
まあ此方としても本当にキスされたらダメージを食らうので寸前で「冗談だよ」と言ってやるつもりだった。
のに。
昴はばっと顔を上げて言った。
「やればいいんでしょう」
「え、いや、ちょっと」
やけくそになっている。
今度は此方が焦る番だった。
がし、と顔を掴まれて思わず目を瞑る。
ちゅ、と額に柔らかいものが触れたと思ったらすぐ離れた。
「此れで満足ですか」
昴は涙目だ。
「あ、うん、ごめん」
逃げるように去っていく昴の背中を見送って、そっと額に手を当てる。

熱い。

「……額のキスは何だっけ」
いやそんな意味はどうでもいい。
昴だってきっと考えてした訳じゃない。


問題は。


何でこんなに額が熱いかだ。
 





***
カイスバ
額のキスは友情だった筈だけどあんまし意味はない
デコちゅーが好きなだけ(私が)
昴可愛いよ昴
カイスバ増えろ!

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「好きです、付き合って下さい」
「そうやね…どないしようかな」
今吉は髪を耳にかけて首を傾げ、逡巡する素振りをする。無駄に色っぽい。
何だ此れ。
着替えて帰ろうと部室へ戻ってきたら先に来ていた今吉に若松が告っていた。
何だ此れ。
今吉が此方に気がついて能天気に手を振る。
「諏佐あー遅かったやん」
一応聞いてみる。
「何やってるんだ」
「練習や」
「何でお前相手に告白の練習させてるんだ」
「えーやって本番に近い適度な緊張感を出せる相手として、ワシ、適任やない?」
先輩で主将やし。
まあ確かに今吉相手に告白の練習なんて緊張するだろう。
今吉の言っていることも一理ある気もするが、全力で面白がっているようにしか見えない。
というか洒落にならない。
人の心の読める妖怪であると名高い癖に、こういう所が意外と鈍い奴だ。
同じ穴の狢とでも言えばいいのか、諏佐は若松の想い人が誰なのかおおよそ見当がついていた。
多分若松の方も諏佐が気が付いていると解っている。
「オレ、お先に失礼します!」
…逃げた。
「おー頑張りや若松―」
今吉は再び能天気にひらひら手を振る。


「若松はちょっとお馬鹿やけどええ子やし、上手くいくとええなあ」

本人が居る時にそう言ってやればいいのに。
其れをしないのが今吉だ。
全力で面白がって、からかうつもりにしか見えないように振舞うくせに、その実、心配したり世話を焼いたり忙しい。
此れで結構面倒見はいい方なのだ。
もっと素直になればいいのに。
尤も他の連中もそう言う所には気が付いているから、何だかんだ言っても慕われるのだろう。


「おかんか」
「誰がおかんや」
突っ込んだらワシがおかんなら諏佐はおとんやで、と言われた。
まあ其れでもいいけど、とは言わないでおいた。
 


***
諏佐今。
夫婦。おかんは長男の恋をからかってるように見えて結構真面目に応援してるんだけど
長男の好きな人はおかんだという。
おかんサトリのくせに鈍い。

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「『ワシの青峰』っていい響きやと思わん?」
いつもと同じ笑顔で今吉が言う。
そう呼んでええか、なんて言うからいいぜ、と返事をした。
「その代わりオレも『オレの今吉サン』って呼ぶけど?」
「其れは駄目や」
今吉は笑顔で拒否してくる。
「何でだよ」
「恥ずかしいやろ」
いつもと同じ笑顔でしれっと今吉は言う。
「アンタの恥ずかしいポイントがわかんねえわ」
本当に恥ずかしいなんて思っているのかどうかも。
 

「って話をしたんや」
「へえ、そうか」
これはもしかしたら惚気話なんだろうか、と諏佐はいつもと同じ笑顔の友人を見ながら考える。
その眼鏡の奥の目は普段と全く同じように細められていて、真意は読めない。
「それでその『お前の青峰』がさっきからスゴイ睨んでくるんだけど」
「おー、ヤキモチ焼いとんのかのぉ。可愛いやろ『ワシの青峰』」
今吉は青峰の方を振り返りもせずにそう言ったのだが。
「………うわ、アカン」
「どうした今吉」
見ると耳が赤い。
「『ワシの青峰』っちゅーのもエライ恥ずいわ」


***
青今
腹黒時々乙女モード
その乙女モードに諏佐の前で入るから駄目なんだよっつー

拍手文でした。
 

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「昴くんはアキちゃんが好きなの」
唐突な問いに昴は椅子から転げ落ちそうになった。
「にゃ、にゃんですかいきなり」
「噛んでる」
楽しそうに海翔は指摘する。
「にゃにを、根拠に、そんなことを」
気を付けたつもりが再び噛んでしまう。
海翔はまた笑った。
「アキちゃんがパーツを届けてくれたのがホントに嬉しかったみたいだからさ」
確かに、嬉しかった。
アレは自分にとって、とても大事なもので、だから其れが手元に戻って来たのは嬉しかった。
アレが大切なものなのだと解ってくれる人が居ることが嬉しかった。
しかし何故海翔に其れを指摘されなければならないのかが解らない。
牽制のつもりだろうか。
本人たちがお互いをどう思っているのかは知らないが、傍から見れば立派にカップルだ。
ただの幼馴染で、其処までの仲では無いのかもしれないが、互いに大切に思っているのは解る。
其処に他人が入り込もうだなんて思っていない。
牽制するつもりならば見当違いもいいところだ。
「部長はボクのタイプとは正反対です」
「へえ」
海翔は面白そうに唇の端を釣り上げる。
「じゃあ、昴くんのタイプってどんな子なの」
何故そんな話になる。
しかし言わなければ解放されそうもない。
「……大人っぽい、もっと理知的な人です」
何気にあき穂に失礼なことを言っているのだが、海翔は其処は指摘しなかった。
「年上とか?」
「……そうですね」
年上というのは避けるべきキーワードだったかもしれない、と思ったが、海翔は少し嬉しそうな顔をする。
「キルバラは?」
「……は?」
「キルバラは強い方がいい?」
「いえ、其処には特にこだわりは」
今度は少し面白くなさそうな顔になる。
なんなんだ。
良く解らない人だ。
昴はとりあえず話を逸らそうとした。
「……そういう八汐先輩はどうなんですか」
「オレ?そうだなあ」

「キルバラで21敗しても諦めない子かな」

「………………は?」
何を言われたのか全く理解出来なかった。
いや海翔の言った言葉は解るのだが、其れが誰のことを指すのかを理解することを本能が拒んでいる。
昴は混乱した。
それなのに海翔はさっさと立ち上がって言う。
「じゃあまた明日」
「え、にゃに、ちょ、先輩!」

混乱したまま置いていかれて、昴は益々焦るばかりだ。


***
カイスバ
ゲーム未プレイ・アニメのみ
昴可愛いよ昴!ってなったので書いた。
萌えに忠実に生きる。

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「そんなトコにおったら風邪引くで」
草むらに隠れて人の気配をやり過ごそうとしたのに、ソイツはわざわざかき分けて入って来た。
咄嗟に鱗の生えた腕を隠す。
人間は嫌いだ。
人と少し容姿が違う、それだけで石を持って追い払おうとする。
なのにソイツはひらひらと手を振った。
「こっちおいでぇ」
手招きする同じくらいの年頃の子供。
眼の辺りを布で覆った、風変わりな子供。
アレで良く自分を見つけることが出来たな、と思う。
変な奴。
ソイツは笑った。
「まあ確かになあ」
変な奴、と思ったことへの返答だとすぐに気がついた。
「せや。ワシ、サトリやさかい。ジブンと一緒や。半分、人間やない」
「…そうかよ」
石を持って追ってくる人間より、よっぽどマシ。
そう思ったからついて行ってみることにした。
サトリは古びた神社の前で立ち止まる。
「とりあえず雨風は防げるで」
「こんなトコ入って大丈夫なのかよ」
「此処は神さん居らんからの。別にバチ当たったりせえへんよ」
「そんなのわかるのか」
「わかるで」
サトリは笑う。
本当に見えているかのようだ。
「見えてるんやない、読めるだけや」
神さんが居ればもう少し周囲の音が違うんや、とサトリは言う。
コイツは本当に『サトリ』なのだと理解した。
自分と同じ。
妖怪と人間との間に生まれた子供。
仲間。
思わず伸ばした腕を、サトリはやはり見えているかのようにすい、と避ける。
「ワシに触ったらあかんで」

「ワシはサトリや。お前の心の奥まで読んでまうで」




「アンタ其れでよくその辺のモノぶつからないな」
出会ってからずっとサトリの両目は布で覆われたままだ。
そんな状態なのに見えるのと変わらぬ様子で障害物を避けて歩く。
「ああ…だいたい『読める』さかい」
サトリは笑った。
「木とか、草とか、生きもんはたいていなんか言うとるからな」
何言うとるかようわからんけど。触ればもう少し読めるで。
以前神さんが居ると音が違う、と言っていたことを思い出した。
其れは多分此れのことなのだろう。
「眼が見えない訳じゃないんだろ」
サトリは真が布の下を見たがっているのに気が付いて、困ったように笑った。
「見たら気持ち悪うなるで」
「見たい」
諦めたようでサトリは布を外して見せた。
焦げている。
第一印象は其れだった。
焼け爛れて皮膚が引き攣り、赤黒く腫れて醜い痕になっている。
「それ、」
真の動揺を当然読んだだろう、サトリは笑う。
「前、ワシを買った男がな、金儲けにサトリの力使える言うての。目が見えん方がサトリの力が強なる思うたらしいで」
まあ実際そんな変わらへんけどな、とサトリは笑う。
痛々しい。
その痕が、なのか。笑うサトリが、なのか。
それさえ解らず思わず手を伸ばすと、ついと避けられた。
「触らんといて。痛いんや」
碌な治療もせず放置された火傷の痕は膿んでいるように見えた。
サトリはさっさとまた布を巻いてしまう。
そうしていつものように笑う。
どうして自分は、自分たちは、こんなに理不尽に傷付けられなければならないのか。

人間なんて皆死ねばいいのに。

「滅多なこと言うたらあかんよ、マコ」
サトリはいつもの調子でそう言った。


***
花今
妖怪ハーフ花宮(ショタ)×サトリハーフ・ショタ吉
はなみやもいいけど真とかマコとか呼ばせたかった
花宮が何の妖怪とか全然考えてなくて
でも見た目人間と違うカンジ~とかテキトーに考えてて
鱗。蛇っぽいカンジ。
サトリは触らなくても当然心は読めるけど
触るともっといろいろ読める。サイコメトラー的な。
最初の鬼×サトリとは別物のつもりだけど
同じでも美味しいかも。
サトリが鬼に惹かれていって益々歪むはなみや―
萌える。
触るな言われて
頭いいから色々考えちゃうのがはなみや
本能のまま動いて後で考えるのが青峰

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