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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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首筋に思いっきり噛み付いてやったら流石の妖怪も痛かったようだ。
オレの噛んだ痕を擦りながら文句を言う。
「なんやのもう…此れ血ぃでたで」
文句を言いながらもいつもと同じ笑顔だ。
首からじわりと血が滲んでくる。
普通に赤い血だった。
アンタは妖怪だから絶対緑色とかだと思ったのに。
「なんでやねん。赤いやろが」
妖怪は手に付いた血を此方に向けて見せる。
確かに赤いけれど。
これはきっと妖術かなんかで赤く見せかけているだけだ。
誰が騙されるかよ、バァカ。
「んなこと出来んわ。つか緑色ってなんやそれ。ワシ地球外生命体か」
あーそんなんあったな。なんもかんも宇宙人の仕業になっちまうくだらねえ海外ドラマ。
「ワシアレ結構好きやったで」
ホラー嫌いなくせに変な奴。
やっぱアイツらの仲間なんじゃねえの。
もう少し強く噛んでみようか?
きっと今度は緑色の血が出るぜ。
「ええ加減にしいや。痛いの嫌いや」
妖怪はいつもの顔で笑う。
「まるで噛み殺そうとしてるみたいやん」
ハッ、そうかもな。
アンタ殺してオレも死ぬって、究極の愛の形じゃね?
「そんなんお断りや」
妖怪はさらっと却下した。
「爺さんなるまで一緒に居ようなあて約束する方がええわ」
そんなこと思っても居ない癖に。
「ワシはお前が好きや言うとるのに、そんなに信用出来んのかいな」
アンタは妖怪だから気を許したら頭から齧られそうだ。
「まあええわ」
オレの首に腕を回して妖怪は笑う。

「お前がワシとそうやって遊びたいなら付きおうたるで、花宮」

ほらな。
アンタはやっぱり妖怪だ。
オレの考えてることなんか全部お見通しなんだ。


***
花今
妖怪と戯れる悪童。
いちゃいちゃ。
花宮の台詞『』つけなかったけど
此れホントに花宮が声に出してなかったら
今吉さんマジ妖怪

誕生日と全く関係ない話だけど
花宮お誕生日おめでとう!

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「何でスルメなんか要るんだよ」
「は?スルメ?」
携帯を弄りながら大輝が言う。
今吉から見ればまだまだ子供だが、そう呼ぶには抵抗があるほど身体は大きくなった。
しかし尻尾を弄りながらゴロゴロする姿は昔と少しも変わらない。
「ユイノーに居るモノ」
「ユイノー?」
結納。
「…なんや其れ」
脳内で漢字変換出来た途端声が低くなった。
何を言い出したのだこの子供は。
「ネット」
ネットって便利だなーちっと検索かけりゃ全部解るわ。
呑気に大輝は言う。
狐には縁の無い、人間の文明の利器って奴はなかなか有能らしい、が。
「そないこと聞いとるんとちゃうわ。結納ってなんや」
「アンタとオレの」
しれっと大輝は答えた。
「スルメより稲荷寿司とかのがいいか?」
「スルメなんてよう食わんしな。っていやそう言う問題ちゃう。何でワシとお前が結納かわさなあかんのや」
「今吉サン年寄りだからそういうケーシキ?とか拘るかと思って」
年寄りてなんや。
突っ込みたい処は多々あったが、それでは話が進まない。
「一応聞くが、ジブン、ワシと結婚する気なんか」
「前からそう言ってるだろ」
聞いてなかったのかよ、と大輝はむくれた。
こういう所は子供の頃とまるで変わっていない。
今吉は頭を抱えた。
子供の言うこと、と思っていたが、本気だったとは。
「ガキや思うて流しとったワシが悪かったわ。あんなあ大輝、人間と妖怪はホンマに結婚でけへんのやで」
「なんでだよ」
昔話では良くあんぞ、と大輝は言う。
そんな御伽話と一緒にするなっちゅうんや。
面倒ではあるがきちんと説明しなくてはならない。
「妖怪と結婚するっちゅーのは人間やめるちゅーことや」
「いいぜ」
即答に怯んだのは狐の方だった。
「簡単に言うんやない。オマエは其れでええかもしれんが親はどないすんねん。大輝居なくのうたら悲しむで」
親だけではない、友達とも、仲間とも、会えなくなるのだ。
「それでええんか」
「だってオレ今吉サンと一緒に居たいし」
阿呆だということは知っていたが此処まで阿呆とは。
今吉は長い溜息をついた。
「もう少しちゃんと考えや」
少し考えて今吉は続ける。
「…せやなあ、あと5年たって大輝の気が変わらんかったら、ワシも腹括るわ」

この子供と出会って、10年。
妖怪にしたらあっという間の時間。
自分は変わらないけれど、子供は大きく育った。
それだけでも住む世界が違うのだと、もっと早く気が付くべきだった。
この10年、楽しかった、けれど。
もう、この子供と会うことは出来ない、と思った。
この子供がこんなに眩しいのは人であるからだ。

だらだらと長い時間を生きている妖怪とは違う生き物なのだ。

大輝は狐の腕を掴んだ。
「放しい」
「やだね」
大輝は言った。
「今放したらアンタどっか行っちゃう気がする」
どんだけ勘ええんや。

掴まれた腕を振りほどくことも出来ずに狐は途方に暮れた。


***
青今
ショタ峰(小学生→高校生)×狐吉さん
もう観念してさっさと結婚してやれよ的な。
狐吉さんに続きを!と言ってくださった方がいらっしゃったので
調子こいてみました。
狐吉さんの尻尾もふもふ

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もふもふ、もふもふ。
「えー加減にせんかい」
ふかふかの尻尾の感触を延々と楽しんでいた子供は振り払われて転がった。
転がったが、すぐに起き上がってまた尻尾に手を伸ばしてくる。
よほど気に入ったらしい。
しかし触られるこっちの身にもなって欲しい。
狐は子供の手を避けて言った。
「触んなや」
「いーじゃんケチ!其れくれよ!」
触らせろではなく、くれときたか。
子供特有の我儘だが、簡単にやれる訳がない。
「やらんわ。此れはワシの身体の一部や」
自分の体から生えているモノを他人にやれる訳がないではないか。
とは言っても、理屈では納得しないのが子供だ。
駄目と言われて不貞腐れた子供は、ややあってパッと顔を輝かせた。
「じゃあ今吉サンごと全部貰う」
「なんや其れ」
ワシは尻尾のついでか。
ワザとらしく拗ねて見せると大輝は言った。
「ちげーよ、オレ今吉サンのこと好きだから尻尾も好きなんだもん」
素直なのか馬鹿なのか。
どちらにせよ本気で思っているからこそさらっと出てくる言葉なのだろう。
この子供のこういう所が眩しくて、照れ臭い。
「ジブン将来タラシになるわー」
「タラシってなんだ?」
「いや知らんでええ」
投げやりに手を振ると大輝はまたむくれたが、すぐにまた名案を思いついたようだ。
「そうだ!ケッコンすればいいんだ!」
「はあ?!」
何を言い出したこの餓鬼は。
ちょっと待て、と突っ込む間もなく子供は続ける。
「ケッコンすれば今吉サンはオレのもんだろ!」
得意気にそう言われても困る。
「あんなぁ、妖怪と結婚て無理に決まってるやろ」
妖怪と婚姻関係を結ぶということがどういうことか、子供はまるで解っていない。
其れは簡単に言うのなら人間ではなくなるということ。
人間を捨てるということなのだ。
しかし其れを説明しようにも、子供はまだ幼くて、多分理解出来ない。
阿呆やしな。
狐は説明を放棄した。
要するに面倒臭くなって投げた。
「何で駄目なんだよ」
「駄目なモンは駄目や」
子供はしつこく食い下がる。
「なんでだよ、狐の嫁入りって言うじゃん」
阿呆、アレ天気雨の事やろが。


「つかワシが嫁か!」

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好きなモノを見つけるのって結構難しい。


チーター狩りはともかく、こなの所へは定期的に顔を出して差し入れしてやる必要性がある、と海翔は思った。
放っておくとこのニートは、2・3日何も食べずにモニターの前にへばり付いているなんてこと平気でやってのける。
流石に餓死まではいかないだろうが…いやどうだろう。
とにかくたまに様子を見に来た方がいい。
メロンパンを与える時にお約束の様に「それに薬が入ってるんでしょ」とか「やめて!私に乱暴するつもりでしょ!エロ同人みたいに、エロ同人みたいに!」とか言うので面倒臭いが。
お約束を一通り終えて満足したこながパンを食べだしたのを見ながら海翔はポケットから飴を取り出した。
水色の、飴。
此れを見て思い出すのは一人だ。
デュフフとこなが笑った。
「や、八汐先輩てば、飴なんて、だ、大事そうに見つめちゃって、それ、もしかして、生意気眼鏡に貰ったとか」
「…まさか」
ぎくりとした。
其れを誤魔化すように海翔は言う。
「いつまでもポケット入れといたら溶けちゃうでしょ」
この暑さだ、溶けてでろでろになってしまうに違いない。
今ポケットから出したこの飴は、あき穂から貰ったものだ。
それなのに、別に人物を思い出すって、どういうことなんだろう。
こなはまた笑う。
「な、生意気眼鏡に、飴を貰ったことは、ひ、否定しないとか、フラグキタ!」
語るに落ちた、と言ったところか。
いつまでもポケットに入れといたら、という言い方は、ちょっと前に貰って其れは舐めてしまった、と白状したも同然だった。
「……まあ確かに貰ったけど」
海翔は正直にそう言っておくことにした。
此処で変に言い訳をすればこなはもっとあらぬ妄想をするだろう。
「そ、其れで、飴を見て思い出してたとか、や、八汐先輩てば乙女か、ての。薄い本が厚くなりますね!!」
こなは大変楽しそうだったが、海翔はスルーした。



好きなモノを見つけるのって案外難しい。
ガレージで昴を目で追いながら思う。
『お好きなんでしょう』
いつも舐めているから、と昴は言った。
好きなモノ。
考えたら海翔は昴が何が好きかなんてわからない。
ああ、だけど。
ロボットが好きなのは知ってる。
父親に嘘をついてまで、ロボワンに出たかったのだ。
テンパるとすぐに顔に出るタイプなのに。嘘なんて付ける性格じゃなさそうなのに。
M45がちょっと羨ましいかも。
昴にあんなに大切に思って貰えて。
昴が此方の視線に気がついて顔を上げた。
「なんですか」
「いや……ちょっとヤキモチ、かな?」
「はあ?」



好きなモノを見つけるのって結構難しい。
好きなモノを見つけるより、好きな者になりたい、なんて、そんなこと考え始めてる。
 


***
カイスバ
好きな者になりたいと思い始めてる海翔

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「本当に火神くんは沢山食べますね」
いつものマジバ、いつものように山と積まれたトレーの上のハンバーガーを火神は難なく片付けていく。
もきゅもきゅと口の中のモノを飲みこんで火神は言った。
「お前が食べなすぎなんだろ」
「スイマセン、小食で」
「謝る事ねえけど、もう少し食べた方がいいぞ」
そう言いながら次のバーガーを手に取る。
「火神くんは料理を作るのも上手ですよね」
黒子はバニラシェイクを啜りながら言った。
「火神くんが毎日ご飯を作ってくれたらもっと食べられる気がします」

ボクのために毎日味噌汁を作ってください。

勿論そんなつもりの言葉だというのに大食いリスは口の中のモノを飲みこんでから言った。
「毎日は無理だけど今日来るか?」
「ありがとうございます」

…まあとりあえず良しとします。


***
黒火
火神は鈍いと思う

拍手文でした

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