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ぽえまのこうしん
更新記録と小ネタ。
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「アコはホントに音吉さんが好きなんだなあ」
隣で奏太が言う。
今日も自分は傘があるくせに、帰らずに人に付き合って残ってる。
一緒に居てくれる。
「大好きよ、優しいし」
アコは言った。
「お祖父ちゃんは絶対私に嘘をつかないもの」
パパとママが恋しくて泣いている時もすぐに来てくれる。
いつだって寂しい時には側に居てくれる。
寂しい時は絶対に側に居て、一人にしないと言った。
お祖父ちゃんは私に嘘をつかない。
だから。


この間来てくれなかったのは、私が寂しいと思わなかったからじゃないだろうか。
奏太が居たから。
奏太が一緒に居てくれたから、私はあの時寂しくなかった。

実際はノイズの一件でバタバタしていたせいだったけれど。


「あ、来たぜアコ」
奏太の声に顔を上げる。
門の向こうに傘を持った音吉が歩いてくるのが見えた。
「じゃあな!」
奏太は自分の傘を差すと駆け出して行った。

その後ろ姿を見ながらほんの少し、寂しい、と思った。


***
奏アコ
傘持ってるのに一緒に待っててくれる奏太がさ~
もうホントいい男なんだよねえ~っつー

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「妹じゃないのはわかってるよっつーの。妹みたいなもんってことじゃないか」
仲間に妹、と紹介されたのが気に入らなかったらしい。
私は妹じゃない、と怒鳴って走り去り、それきりだ。
「それで怒ってどこか行っちゃったコトネを探してる訳か」
「ったく何処行っちゃったんだかなぁ」
柵に寄りかかってゼンジロウは溜息を付く。
別に放っておいても問題は無い筈だ。
デジタルワールドで世話を焼いた記憶が今でもゼンジロウには染みついているらしい。
「タイキは?アカリくんは一緒じゃないのか?」
タイキはタハハと苦笑して頭を掻いた。
「似たようなカンジでさ」
アカリのことを彼女ってわけじゃないなんて言ってしまったのだ。
それは事実で、実際つき合っている訳じゃないのだが。
「女の子って難しいよな…」
二人して川を眺めながら黄昏る。
「キリハの奴はどうなのかな」
ふいにゼンジロウが言った。
「アイツなら『紳士』だしもう少し女の子の扱いに長けてる気がしないか?」
どうだろうか。
キリハは確かに自称紳士だが、あの性格だ。
アレに付いていける女の子がいるだろうか。
「こういう場合どうしたらいいのか助言でも貰えないかな…」
「うーん…じゃあちょっとメールしてみようか」
無駄じゃないかなと思いつつタイキは呼びだしのメールを入れる。
返ってきた返事は。
 
『今日はネネと出掛けるので忙しい』
 
リア充爆発しろとはこういうことを言うんだろう。


***
デジクロ漫画版
男の子組はその頃、的な。

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「ゼンジロウさん!」
「おお、来てたのかコトネ」
「当たり前ですよ、県大会の決勝だもの。応援に来ないわけないじゃない」
カッコ良かったよ、と続けようとしたコトネの言葉をゼンジロウの仲間が遮った。
「なんだゼンジロウ、彼女か?」
ゼンジロウは其方に向かって言った。
「いや妹」
 
「って言ったんですー!」
喋り終わって、わあっとコトネはテーブルに突っ伏した。
駅前のファーストフード店でちょっと目立つが、気持ちはわかる。
好きな人に妹扱いされたらそりゃあショックだろう。
「ゼンジロウも相当ニブイよねえ…」
セットのジュースを啜りながらアカリは言った。
デジタルワールドでの戦いの時は小さかったコトネも、今はもう恋する女の子なのだ。
そういうことは女の子の方が早熟というか、ませているとよく言うが、アカリに言わせれば男共が鈍いだけだ。
激ニブだ。
タイキだってそうだ。
周りの目は「タイキの専属マネージャー」から「タイキの彼女」になっているというのに、当の本人は全然そういうことには気が付いていないのだ。
「もう今日はネネも呼びだしてぱあっとやらない?」
「姉しゃまも?」
幼児言葉は抜けたと思ったのに、コトネは姉であるネネを呼ぶ時だけ少し幼くなる。
何年経とうがどれだけ大きくなろうが、コトネはネネの妹なのだなと微笑ましく感じる。
アカリは言った。
「そ、女の子だけで何かおいしいものでも食べに行こうよ」
「いいですね!メールしてみます」
しばらくしてコトネの携帯に返信を告げる音が鳴った。
覗き込んだネネの返事は。

 
『今日は此れからキリハくんと映画を見に行く約束なの。ゴメンね』
 

***
漫画版クロスウォーズ
数年後ってことで。
コトネが大きくなって
ゼンジロウのこと好きなのに妹扱いされて面白くない、とか
可愛くないかなあ!という妄想。
 
 

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「アコ最近機嫌いいなぁ。何かいいことあったのか?」
学校からの帰り道、奏太が言った。
アコはくるりと回って笑う。
「パパが帰って来たの!」
「そっかあ。よかったな」
「うん!」
メジャーランドから逃げる様にして此方に来てから、少しも笑えなかった。
こんな風に素直に頷くことが出来る日が来るなんて思っていなかった。
今は笑える。
其れが嬉しい。
奏太も何だか嬉しそうに笑って言った。
「笑ってる方が可愛いよ」

笑ってる方が、可愛い。

「どうしたアコ顔赤いぞ?」
「何でもない!帰る!!」
顔を覗き込んで来る奏太を振りきって走り出す。
なんで顔が熱いのかなんてわからない。


***
奏アコ
王子は奏と何の進展もなさそうだが
奏太には頑張って欲しいものだよ

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学校から帰って来た奏太と何か話してから、奏がカップケーキの4つ乗ったトレイを持って此方に戻ってきた。
てっきりまた店のお手伝いをしろなどとお小言でもかましているのかと思ったが、奏太は嬉しそうに飛び出して行った。
「おまたせ」
カップケーキを配る奏は上機嫌だ。
「どうしたの?何かいいことあった?」
響は聞いた。
「えっ。私、そんなに嬉しそうだった?」
「ええ、とても」
「にこにこしてたニャ」
エレンとハミィも大きく頷く。
奏は笑った。
「奏太がなんだか機嫌がいいから、どうしたのって聞いたのよ。何かいいことでもあった?って」
響と同じこと聞いちゃった、と奏は笑う。
「そしたら最近アコちゃんが嬉しそうなんですって。前は何だか寂しそうだったのにすごく元気になったから、何かいいことあった?って聞いたら、パパが帰ってきたのって」
パパが、帰って来たの。
アコの父、メフィストはついこの間までマイナーランドの王を名乗って、プリキュアと敵対していた。
世界を不幸にするのだと言っていた。
プリキュアとして父と戦わなければいけないかもしれないという状況で、誰にもそれを言うことが出来ず一人で頑張っていたミューズ…アコ。
優しい父が戻ってきたことが本当に嬉しかったに違いない。
奏太は単身赴任か何かで家を空けてたんだろうって思ってるみたいだけどね、と奏は言った。
「すっごく嬉しそうだから何だか自分まで嬉しくなっちゃって、って笑うから、お祝いにカップケーキをご馳走するから呼んでらっしゃいって言ったの」
成程それで奏太は飛び出して行ったらしい。
「それで奏まで嬉しそうなんだ」
「でも響もセイレーンも嬉しそうだニャ」
カップケーキに齧りつきながらハミィが言った。
「そりゃ奏が嬉しそうだったら私だって嬉しくなっちゃうよ」
「私もよ」
だって大事な友達だもの。
そう言うとハミィはにっこり笑った。
 

「幸せの連鎖ってヤツだニャ」
 

大切な誰かの幸せが、また別の誰かを幸せにする。
そうやって、幸せが広がっていく。
繰り返して、広がっていく。
 
皆が幸せに、なっていく。

 
「素敵ね」
皆の声が重なった。
其処へ奏太がアコを連れて戻ってきたので、カップケーキを用意する為に奏は立ち上がる。
何だかそんな仕草さえも幸せの波紋を広げているようで響は嬉しくなった。



***
アコちゃんが超可愛くなったもので浮かれてる。
奏太となんか進展があるとイイナ的な。

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